【シリーズ】食品添加物って何だ?:亜硝酸ナトリウム 編

11月 3, 2017食事亜硝酸ナトリウム, 亜硝酸塩, 添加物, 食品添加物, 食品添加物って何だ?食事, 亜硝酸塩, 添加物, 食品添加物, 食品添加物って何だ?


健康的な生活を送る上で、食事は非常に重要です。今回で4回目の「食品添加物って何だ」

『指定添加物』454種類、『既存添加物』365種類の中から、健康に関わる添加物の説明をします。

今回は、指定添加物に属す『亜硝酸ナトリウム』を扱います。ハムやソーセージに使われている添加物ですね。よく口にする人はチェックですよ!

指定添加物、亜硝酸ナトリウムって何だ?【概要】

まずは物質としての前提

亜硝酸ナトリウム(あしょうさんナトリウム、Sodium nitrite、NaNO2)はナトリウムの亜硝酸塩である。別名は亜硝酸ソーダ。食品添加物。毒物及び劇物取締法で劇物に指定。消防法で危険物第1類(酸化性固体)の亜硝酸塩類(酸化性固体亜硝酸塩類第1種酸化性固体(50kg))。水質汚濁防止法で施行令第2条有害物質。白色または黄色の斜方晶系の結晶で、市販品は粉末・棒状または粒状のものが多い。吸湿性・潮解性を示し水によく溶け、水溶液はアルカリ性となる。アルコールやエーテルには微溶解する。酸で分解すると三酸化二窒素を生じる。
※Wikipediaより引用

亜硝酸ナトリウムは、天然にも沢山存在する添加物で、食べ物に用いる場合は発色剤として使われます。簡単に言えば、色味を鮮やかに見せるためですね。インスタ映えには最重要ポイントと言えるでしょう♪

なお、当然指定添加物なので使用量上限も細かく決まっていて、

 

食肉製品 0.070g/kg
魚肉ソーセージ 0.050g/kg … etc.

亜硝酸ナトリウムの一日許容摂取量:0.07mg/kg/日(2002~)

詳しくは、厚生労働省が定める使用基準リストに定められています。

4回目ともなると、もうご存知だと思いますが、使用許容量が決まっているということは、端的に多量に摂取すると『身体に悪い』ということです。しかも今回は許容量が少ない! 相当な劇物と想像できます。

使用用途はこちら。
今回はどうやら用途が限られている模様。

食肉製品、鯨肉ベーコン、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、いくら、すじこ、たらこ

主に加工肉類、いくらやすじこに多く使われています(生鮮食肉や鮮魚への使用はNG)。お肉やいくらなどは酸化してしまうと変色を起こしてしまいますので、乳酸と反応して赤色を出す亜硝酸ナトリウムを発色剤として使っているんですね。赤さはお肉やいくらにとって鮮度とイコールだからでしょう。

さて、では今回もいつもと同じ質問。あなたは1日に、上記のどれくらいを食べていますか。いくらやすじこを毎日食べてる人はいないかもしれませんが、ハムやソーセージを食べている方は多いのでは? お酒のおつまみとして簡単で手軽ですものね。
それでは亜硝酸ナトリウムがどんな健康にどんな影響を及ぼす可能性があるか、詳しく見てみましょう。

亜硝酸ナトリウムの健康に関する懸念

日本で認められた添加物は、短期的摂取、長期的継続摂取、世代間摂取(動物実験)が行われています。アレルギー要因の有無、発がん性の有無、急・慢性の毒性の有無、胎児に与える影響、といった項目を調べ、使用許可が出されています。前述の上限値は、「健康への影響が出ない摂取量」、いわゆる「無毒性量」です。基本的な食品は、これをクリアしてます。毎度毎度の確認です。一応ね。

さて、まずは一日許容摂取量の説明です。
0.07mg/kg/日とは、60kgの人ならば、4.2mgが許容量という意味です。魚肉ソーセージならば1.2kg食べると少しはみ出す程度ということです。魚肉ソーセージ1.2kg……。添加物なんか関係なく病的な匂いが漂います。そもそも食べすぎです。そんなに食べてる時間があるなら動け!走れ!

2002年度の調査では、日本人の摂取割合は0.307mg。大体0.3mg程度だったそうです(※1)。どうやら直接摂取量が許容量に迫ることはなさそうです。
しかし始めにも言ったとおり、亜硝酸ナトリウムは劇物です。致死量は33~250mg/kg。50kgの人なら最悪1.65gで死に至ります。また、さらに少ない量で中毒症状を起こすこともあり注意が必要です。言わずもがな、ゴリゴリに危ないものであるのは明らかです。

ではどんな場合に問題があるとされているのでしょうか?

問題点+αは4つ

1.継続摂取による危険性
2.複合摂取による危険性
3.硝酸塩から亜硝酸ナトリウムへの還元
α.実は良いこともある?

これらが問題点として指摘されています。ただし先に書いておきますが、亜硝酸ナトリウムは『プラスの効果』があることもわかってきています。これまでの添加物のようにマイナスばかりではありません。そちらも合わせて説明してみたいと思います。

【亜硝酸ナトリウムの問題点】1.継続摂取による危険性

亜硝酸ナトリウムに関しては本当に多くの実験がされています。ここではその種類が多すぎるため要約して。もっと見たい方はこちらへどうぞ。

急性症状として、血管拡張、血圧低下、肝臓中のビタミンA濃度の低下、甲状腺機能障害が認められた

多量に取った場合の症状が、長期的に摂取したものと結びつく可能性が高いと考えられます。赤血球のエネルギー代謝を低下させる研究結果(※2)も出ており、血管への影響は高そうです。

生後6又は55週齢のマウスに、亜硝酸ナトリウム0、110mg/kgを7日間経口投与。亜硝酸ナトリウム投与群では強制走行距離の減少、心電図の異常、限外顕微鏡下で心筋の変化が観察された(抜粋)

ラットに0、0.06、0.125、0.25、0.5又は1%濃度含有する飲料水を6週間与えた。(亜硝酸ナトリウムとして0、60、125、250、500、1000mg/kg/日に相当)。剖検の結果、高投与量の2群で血液、脾臓にメトヘモグロビン血症による著明な色調の変化(褐色化)が認められた。(抜粋)

2年間投与を行った場合、病理組織学的変化は肺、心臓にみられ、心筋に小さな変性と線維化が観察された。(抜粋)

高濃度摂取の継続は様々な問題があるようです。しかし人が直接口にする量では問題がないことがわかっています。ひとまず安心ですね♪

ちなみにヒトでも実験は行われています。

0.2-0.3%の亜硝酸ナトリウム投与(200-300mg/kg相当)を併用投与すると、前胃における腫瘍発生が増強されることが多数報告。しかしこれ以下で報告なし。

腫瘍発生増強は確かにあるようです。しかしこれ、ほぼ致死量と同量ですね……。腫瘍発生うんぬんではありませんので、あまり影響はないでしょう。

ただ、結果に反し国際がん研究機関(IARC)では亜硝酸ナトリウムに対しメトヘモグロビン血症を起こし、「ヒトに対しておそらく発がん性がある」としています(2010年)。それなのに、2017年の6月に発表された再評価(※3)においては、亜硝酸ナトリウムの発がん性試験は陰性だったとされています。今のところ、決められた容量を守って使ううちは問題はないと言っていいかもしれません。未だ確実な調査結果はありませんが、今後の動向にも注目です。

結論としては、多量に摂取しなければ問題はないが、多く取った場合の症例を知っておくことは重要です。また二年以上の調査結果はありません。少量であれ、劇物を多量に摂取するのが避けるべきであるのは明らかですよね♪

ここで一点注意!
子供、主に乳児は影響を受けやすいため、短期的でも摂取を避けるべきとされています。お父さん、お母さん。気をつけてください。
 
 
 

【亜硝酸ナトリウムの問題点】2.複合摂取による危険性

どこかで聞き覚えのある方もいることでしょう。そうです。第一回で出てきたソルビン酸です。ソルビン酸と亜硝酸ナトリウムが混合することで発がん性が報告されています。詳しくはこちらをどうぞ。

 

亜硝酸ナトリウムと違う? 硝酸塩についても補足

さて、ついに語る時がきてしまいました。あまり気が進みませんが、仕方ありません。

ここで一つ注意があります。
亜硝酸ナトリウム自体は、なかなか許容量を超えることはありません。しかし硝酸塩ならどうでしょう? 硝酸塩は主に野菜に含まれるもので、こちらも硝酸ナトリウムとして指定添加物に入っています(5mg/kg/日)。そして実は、我々日本人は、この硝酸塩の一日摂取量が許容量に迫ることを農林水産省が発表しています。

さて、では何が問題かを説明しておきましょう。実はこの硝酸塩、唾液中で一部が腔内の微生物により還元されて、亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム)に変わります。農林水産省による発表では、その割合が4~7%だとか。

さて、では計算してみましょう。仮に50kgの人が許容リミットの硝酸塩を摂取していたとします。その場合は250mgの硝酸塩が体内へ入るとなります。で、250mgのうち4~7%が亜硝酸塩に変わるとすると、17.5mg(7%計算)が体内に入っていることになります。

……おかしいですよね。
亜硝酸ナトリウムの許容量は、50kgの人ならば3.5mg。完全に許容量を超えています。

この件について、結論はあえて書きません。国も、“野菜は色々バランス良く食べなさい”と言っています! 偏ってはいけないと、遠回しに、そして確実に言っています。もう一度言いますね、『偏ってはいけません』。

何に偏ってはいけないか、これを見れば一目瞭然ですから、皆さんの眼で、ちゃんと見ておくことをオススメします。トマト、ブロッコリー、最高ですな。コ、コマツナァ……

 

実は良いこともある? 亜硝酸ナトリウムの現在

実は近年、亜硝酸ナトリウムに関して様々な報告がされています。中には驚くような研究結果も発表されており、いやはや劇物も使い方次第なのだなと驚かされます。

まずは生理機能、運動機能の改善
ならばサプリメントに……などと考えてしまいますが、こちらは若年層より歳をとったマウスで顕著に結果が現れたそうで、老齢で衰えたマウスに対して運動機能の改善が見られたのだとか。同時に骨格筋の炎症改善も見られたということで、これからいい部分だけを抽出したヒトへの転用が期待されます♪ 気になる方は読んでみてください(※4)

また、薬力学的な効果として霧状で使った場合の安全性と耐容性も確認されています。肺動脈性肺高血圧症への使用安全性が確認されたのだとか。他にも抗高血圧効果が認められており、様々な転用が確認されています。
血圧を下げる薬への利用が期待されますね♪ 興味があればこちらもどうぞ(※5)

ただし、最後に付け加えておきますが、多量摂取は死んでしまいますから。これらはあくまでも、こんな効果があるという一例です。お間違いなく……
 
 
 

まとめ

今回は亜硝酸ナトリウムを説明しましたが、どうでしたか?

まとめとしては、

1.亜硝酸ナトリウムは指定添加物に属し、主に発色剤として使われソーセージやいくらなどに添加されている
2.使用量上限が決まっており、一日許容摂取量は0.07mg/kg/日。60kgの人なら4.2mg
3.多量に使用した場合、発がん性や血圧に関する異常がみられるが、普通に生活する中で摂取する量に対する健康懸念はない
4.亜硝酸ナトリウムの直接摂取は問題ないが、硝酸塩の摂取は問題大硝酸塩は口内で亜硝酸ナトリウムに還元するため、野菜は正しく選択しましょう。

こんなところでしょうか。

今回仕方なく触れてしまいましたが、実は近年、大きな声では言えませんが、添加物としての硝酸塩でなく、野菜に含まれる硝酸塩の悪影響が取り沙汰されています。『野菜を沢山食べているから健康』というある種の既成概念が覆される日は近いかもしれない。そんな事実があることも覚えておいてください。

実際のところ、硝酸塩含有食品の食物摂取に関する明確な指針が、世界的にまだありません。亜硝酸ナトリウムよりむしろ、硝酸塩が矢面に立たされる時が必ずくると予言し、今回の〆とさせていただきます!

硝酸塩に関しては、また別途添加物以外の項目で触れてみたいと思います♪

健康は意識から!
あなたも今日から健康、はじめてみませんか?

参考文献

※1):石綿 肇, 日本人の食品添加物の摂取量とその調査方法, 日本調理科学会誌,ISSN 2186-5787, Print ISSN 1341-1535,
※2):Fariheen Aisha Ansari, Shaikh Nisar Ali, Riaz Mahmood,Sodium nitrite-induced oxidative stress causes membrane damage, protein oxidation, lipid peroxidation and alters major metabolic pathways in human erythrocytes,Toxicology in Vitro,Volume 29,Issue 7,2015,Pages 1878-1886,ISSN 0887-2333,
※3):EFSA ANS Panel (EFSA Panel on Food Additives and Nutrient Sources added to Food),Mortensen A,Aguilar F,et al 2017. Scientific Opinion on the re‐evaluation of potassium nitrite (E 249) and sodium nitrite(E 250)as food additives. EFSA Journal 2017;15(6):4786,157pp.
※4):Nitrate and nitrite exposure affect cognitive behavior and oxygen consumption during exercise in zebrafish.Norman Gary Hord, Laura Beaver, et al.The FASEB Journal 2017 31:1_supplement, lb277-lb277
※5):Pharmacokinetics, Pharmacodynamics, Safety, and Tolerability of Nebulized Sodium Nitrite (AIR001) Following Repeat-Dose Inhalation in Healthy Subjects. Rix,P.J.,Vick,A.,Attkins,N.J.et al. Clin Pharmacokinet(2015) 54: 261.