こまめな掃除はやっぱり必須!? エアコンと健康に関する知っておくべきポイント

2018年6月13日健康コラム,睡眠エアコン,健康コラム,睡眠健康コラム,睡眠,エアコン,健康コラム,睡眠

エアコンイメージ

夏本番を直前に控え、そろそろ恋しくなってくるものがあります。暑い太陽の熱を浴びた後、自宅に帰ってからはゆったりのんびりしたいもの。そんな時の必需品、もちろんご存知ですよね。そう、エアコンです。今回はそんなエアコンが人に及ぼす健康効果と注意点について、簡単におさらいを兼ねて説明してみたいと思います。

健康にエアコンは必須!? 本当か嘘か

疑問のある女性

暑すぎたり寒すぎたりすれば、人は弱り衰弱してしまいます。そんな時の便利な味方、それがエアコンです。毎年のように暑くなる日本でも、高齢者やお子さんの熱中症対策には欠かせない存在となりつつあります。しかし皆さん、エアコンは熱中症対策のためだけにあるのではありません。改めて、そのメリットとデメリットを確認してみましょう。見ておきたい項目は8つ、せっかくですから最後までご覧いただき、皆さんの生活に役立てていただければ幸いです♪

エアコンによる健康面のメリット!

1.多くの疾患を予防できる
2.体のパフォーマンスが上がる
3.睡眠の質が上がる
4.大気汚染に有効

エアコンによる健康面のデメリット!

1.カビやアレルゲンの原因に…
2.二酸化炭素濃度の増加
3.調理中のエアコン使用は要注意
4.子供はより注意が必要
5.こんな場所にもリスクはある!

エアコンによる健康面のメリット

多くの疾患を予防できる

OKサインを出す医師

今さら言うまでもないことですが、温度をコントロールすることで多くの疾患を減らせるのは常識です。例を挙げると、心臓血管疾患、虚血性心疾患、虚血性脳卒中、呼吸器疾患、肺炎、脱水症状、熱中症、糖尿病、急性腎不全などの割合が低下し、結果として死亡率も低下することが分かっています。中でも高齢者はその恩恵を受ける場面が多く、健康状態に関わらず温度をコントロールすることは健康を保つ秘訣であると言っても過言ではありません。

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体のパフォーマンスが上がる

健康そうな女性

温度をコントロールすることで人のパフォーマンスが上がるのは皆さんも実感できる部分だと想像します。35度の部屋で仕事をするのと、26度の部屋で仕事するのを考えていただければ、それも当然だと思います。実際に温度別(17度、21度、28度)で生産性を比較する実験を行ったところ、不快感の多い温度で仕事を行ったグループはパフォーマンス維持のためのストレス増加や作業意欲の低下が顕著に出るそうで、気温による生産性の影響は確実に存在するとされています(※1)。不快感のレベルは各個人により異なるため温度を一概に決定することはできませんが、「暑い」と感じる環境で行う仕事は間違いなく質が落ちることでしょう。「寒いグループ」「暑いグループ」でしばしば議論となりますが、「暑い」は温度を下げることでしか対応できません。「寒い」は各個人で服を着込むなり可能ですから、どちらに寄せるかなど言うまでもありません。

ちなみに別の調査結果では、21度の環境下で、かつ1000ルクス(明るさ)環境で仕事を行った場合、50%もの作業能力改善が見られたのだとか(※2)。一時期意味もなく28度設定を叫ばれていましたが、人が快適とされる温度は全く別の場所に存在するようです。(当然エネルギー効率は無視したデータとなります^^;)

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睡眠の質が上がる

眠る犬たち

睡眠の質と気温に関する実験結果によると、人は気温の変化や睡眠中の気温上昇に敏感で、より高い温度、より低い温度で睡眠の質が下がるのが分かっています。これらは主観だけでなく脳波レベルでも明らかで、快適な温度での睡眠が睡眠の質に大きな影響を及ぼすのは間違いありません(※3)。ただし注意が1点。エアコンの風が強すぎる場合、睡眠の質が下がることが分かっています(※4)。適度な気流ならば問題がないようですが、風を直接感じるような環境は睡眠の質に悪影響があるのは避けられません。空気の流れを調節し、快適な温度に設定することが重要ですね♪

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エアコンは大気汚染に有効

咳をする女性

人間(大人)の行動パターンは、屋内87%、車等の移動機器6%、屋外7%程度というデータがあるのをご存知ですか? 言い換えれば、一般的な大人は約9割の時間、屋内にいる(北米調べ)と言って過言ではありません。となれば、屋内の空気が綺麗でなければ健康に良い訳がありませんよね。

中国の大気汚染物質の影響で、近年PM2.5の濃度が叫ばれるようになりましたが、エアコンはそれら汚染物質を抑えるのに有効であることが様々な企業や製品努力により進んでいます。エアコンのフィルタ機能も年々上がっていますし、結果的に血圧の上昇や心拍数、炎症、酸化ストレスの上昇も抑えられるのだとか。また高濃度の大気汚染物質が存在する都市などでは、エアコンの使用率が高い都市ほど、心血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、肺炎による入院が少ないことも報告されています(※5)。フィルターの性能が良ければ良いほど有効なことも分かっています。新しいエアコンに買い換えることも、健康に近づく手段と言えるかもしれませんね。

エアコンによる健康面のデメリット

カビやアレルゲンの原因に…

ハウスダストイメージ

手入れの行き届いたエアコンならば、メリットで並べたような健康効果も期待できます。しかし長らく使われたままのエアコンや、劣悪な環境に晒されたエアコンはそうもいきません。幾つかの調査結果によると、エアコン内にたまったカビやアレルゲン物質は、呼吸器症状、神経症状、アレルギー疾患、喘息、酷ければ肺がんまでの発症リスクを著しく上げてしまいます(※5)。カビなどは長期間使用すればするほど増える傾向があり、高齢者や子供は本当に注意が必要です。最近では病院などでも空調設備を媒体とする感染症なども発生しています。たかがエアコンと言わず、定期的な清掃は必要不可欠です。

中でも注意すべき情報を一つ。いわゆる集合住宅は古ければ古いほど衛生度が落ちることが知られていて、一般的な住宅に比べ、カビなどの汚染物質が多いのは当たり前。喘息や気管支炎のリスクも高く、不衛生な生物(ダニ等)などのリスクも大幅に増すため、環境のリスクを考えることも重要です。

→ 衛生環境と健康の詳しいつながりはコチラ

二酸化炭素濃度の増加

悪夢を見た女性

エアコンの長時間使用は室内の二酸化炭素濃度を高めてしまうことが実験で明らかになっています(※6)。適度な換気を伴うことで回避できるのですが、就寝中などは新鮮な空気を取り入れることができず、空気が滞りがちです。二酸化炭素濃度が高くなると、人は集中力の低下や頭痛、疲労の蓄積などの症状が現れ、健康的ではありません。個人で対応するのはなかなか難しいかもしれませんが、可能な限り空気の入れ替えをしてあげるのが重要かもしれませんね。

調理中のエアコン使用は要注意

調理イメージ

夏場は調理中も部屋を閉め切りエアコンを使用する家庭も多いと思います。しかしそれは注意が必要です。煙を伴う調理や炭などによる調理を行う場合、PM2.5などの微粒子の濃度が多量に放出されるため、エアコンによる快適さを求めるあまり、健康に悪影響を受ける可能性があると指摘されています(※7)中でも飲食店などでは、室内の換気が行き届いていない場合、従業員さんの健康リスクが飛躍的に上がるのだとか。一酸化炭素中毒だけに目が行きがちですが、店内の空気環境は体へ劇的な悪影響を与えているかもしれません。そうならないためにも、しっかりとした換気を行うことが重要です♪

最後に一つ補足。「少しくらいこもっても平気よ」なんて言いがちな奥様。実はPM2.5などの大気に触れ続けると、皮膚も老化すると言われているんですよ。昨年中国で発表された実験結果によると、シワやシミの原因にもなるとされていて、美しい奥様には大敵(※8)! ちゃんと換気はしましょうね♪

子供はより注意が必要

絵を描く子供

エアコンのカビやアレルゲンにより、最も大きな影響を受けるのは子供です。呼吸器の健康に最も影響を及ぼすのは屋内環境とされていて、衛生環境は子供の将来を考える上でも非常に重要です。気管支炎の有病率に関する調査の中でも言われていますが、気管支炎を持つ子供全体のうち、カビや湿気のある環境で生活している子が5割弱もいたというのだから驚きです(※8)。これは親がタバコを吸っている場合とほぼ同じ数値となっており、どれだけ気にかける必要があるかは明らかです。もう何年も掃除を行っていないというアナタ。アレルギーや呼吸器疾患になる前に、スッキリ快適な環境に変える必要があるかもしれませんよ♪

→ 子供の健康リスクはまだまだ沢山あります!

こんな場所にもリスクはある!

都会のイメージ

最後は変わった場所によるリスクです。まずは頻繁に飛行機を使う方に注意です。飛行機内の空気環境は非常に悪いとされていて、どれだけエアコンで管理したところで、その環境は水準より大幅に落ちるのだとか(※9)。二酸化炭素濃度や湿度などは劣悪とも言える環境となりますので、気管支が弱い方などは注意が必要です。

また最近ではエアコンの室外機による『音害』も指摘されています。低周波によるノイズは睡眠障害などの症状の原因ともされており、気になる場合は対策が必要かもしれません。

→ 音害について詳しく知りたい方はコチラもどうぞ

エアコンの健康効果まとめ

エアコンは快適な環境を作り、作業効率や病気のリスクを減らしてくれます。ただそれも環境が悪化してしまえば意味がありません。しかし定期的な清掃と、定期的な換気で多くのデメリットが回避できます。これからも快適なエアコンライフを送りたいものですね♪

健康は意識から!
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参考文献


※1) :Lan, L., Lian, Z., & Pan, L. (2010). The effects of air temperature on office workers’ well-being, workload and productivity-evaluated with subjective ratings. Applied ergonomics, 42(1), 29-36.
※2) :Vimalanathan, K., & Babu, T. R. (2014). The effect of indoor office environment on the work performance, health and well-being of office workers. Journal of environmental health science and engineering, 12(1), 113.
※3) :Lan, L., Pan, L., Lian, Z., Huang, H., & Lin, Y. (2014). Experimental study on thermal comfort of sleeping people at different air temperatures. Building and Environment, 73, 24-31.
※4) :Morito, N., Tsuzuki, K., Mori, I., & Nishimiya, H. (2017). Effects of two kinds of air conditioner airflow on human sleep and thermoregulation. Energy and Buildings, 138, 490-498.
※5) :Dales, R., Liu, L., Wheeler, A. J., & Gilbert, N. L. (2008). Quality of indoor residential air and health. Canadian Medical Association Journal, 179(2), 147-152.
※6) :Phukan, M. B. J., & Deb, S. K. (2017). Assessment of Thermal Comfort and Indoor Air Quality in an Air Conditioned Room. Assessment.
※7) :Taner, S., Pekey, B., & Pekey, H. (2013). Fine particulate matter in the indoor air of barbeque restaurants: Elemental compositions, sources and health risks. Science of the Total Environment, 454, 79-87.
※8) :Ding, A., Yang, Y., Zhao, Z., Hüls, A., Vierkötter, A., Yuan, Z., … & Zhang, M. (2017). Indoor PM 2.5 exposure affects skin aging manifestation in a Chinese population. Scientific reports, 7(1), 15329.
※9) :Gładyszewska-Fiedoruk, K. (2012). Indoor air quality in the cabin of an airliner. Journal of Air Transport Management, 20, 28-30.