今さら聞けない食欲の真実。食欲をコントロールする10の方法!

2018年6月11日睡眠,食事ストレス,ダイエット,まずサラダ,睡眠,野菜,食事,食欲睡眠,食事,ストレス,ダイエット,まずサラダ,睡眠,野菜,食事,食欲

炭水化物イメージ

夏を直前に控え、ダイエットに余念のない人も多いことでしょう。しかしそんな時に大きな障壁となるもの、それが「食欲」です。食欲は健康の証として広く知られていますが、過剰になってしまえば肥満や病気の原因になる衝動です。今回はそんな食欲に関する皆さんが気になる情報に触れてみたいと思います。

アナタが太る理由は食欲にある?

お腹を擦る女性

ダイエットしてるはずなのに全然痩せない。鏡に映る自分のお腹を見つめながら、背後に映るお菓子を処分できずにいる。我慢すれば我慢するほど大きくなる衝動、それが食欲です。
「食欲さえコントロールできれば、きっと痩せられるのに!」なんて思っているアナタ。もしかすると、食欲を抑えられないのはアナタの生活習慣のせいかもしれませんよ♪ ということで、ここからは人の食欲に関するポイントを挙げ、食欲の真実と、それを抑えるポイントに分けて説明してみたいと思います。

食欲とは…

1.食欲は健康の基準!
2.余計な食欲は様々な機能を劣らせる
3.異常な食欲は病気の可能性も…

食欲を抑えるためのポイント!

1.自分の体質を知らない
2.睡眠時間が短いと食欲が増す
3.ストレスを溜めすぎている
4.朝食を抜いていると食欲が増す!?
5.食欲コントロールの鍵は午後にあり!?
6.食物繊維が不足している
7.食欲は味覚によって異なる!
8.筋肉量が足りていない!?
9.食欲は視覚で制御する!?
10.痩せない理由は食欲だけではない!

食欲は健康の基準!

健康そうな女性

一般的に、食欲は人間の健康度を見る指標として用いられることが多く、体調不良や病気があれば、必然的に食欲は減退します。また食欲は加齢により減少(生理学的食欲不振)し、若年層の方々と比べ歳を取れば取るほど人は適正な体重に近づく傾向があります。「若い頃は沢山食べられたのに…」という言葉をよく聞きますが、それも当然ということです。

ただ逆に言えば、「食欲がある」ということは、体が若く健康的であることの裏返しであり、それを裏付けるデータも沢山発表されています。食欲と感染症リスクや死亡リスクといったマイナスなデータが比例しており、歳を取れば取るほど食欲が重要であることは言うまでもありません。また高齢者にとって食欲は老化を計る指標でもあります。高齢者を対象に運転能力と食欲の関係性を調査したところ、食欲のある人ほど運転能力や視覚機能がしっかりしていたことが分かっています(※1)。歳を取っても適正体重で食欲旺盛ならば、それはとても誇るべきことだと言えるでしょう。

しかし問題もあります。食欲がないことと同じように、食欲が旺盛すぎるのも問題です。何事にも程度というものが必要で、過剰な食欲は肥満や他の疾患を生み出します。当然ながら、食欲のままにどれだけ食べても良いとはなりません。

余計な食欲は様々な機能を劣らせる

眠った子犬

異常な食欲は人の能力を制限してしまう可能性が言われています。食欲と自己制御に関する調査によると、過剰な食欲は認知能力や神経的な能力だけでなく、社会的な行動に及ぶまで自己調節の程度がゆるくなってしまうのだとか(※2)。過食による肥満だけでなく、その他諸々の自己制御が効かなくなってしまうと言い換えた方が分かりやすいでしょうか。少なすぎる食欲でも体の働きは悪くなりますが、どうやら過剰な食欲も体を動かなくさせてしまうようです。

健康だから食欲のままにどんどん食べる。そうすると、人の体は次第に制御が効かなくなり、最後には太って堕落した最後が待っていると…。どうやら食欲は自分で制御しなくては際限なく突き進んでしまうようです。ただ1点注意があるのですが、それは次の項目で。

異常な食欲は病気の可能性も…

驚く子犬

自制心で食欲を抑えられない。また反対に一切食べる気が起きない。そんなアンタはもしかすると何らかの疾患がある可能性があります。食欲を伴う病気には以下のようなものがあります。

・過食症・拒食症
・摂食障害
・うつ病
・神経性無食欲症(※)

これらはどれも脳の一部機能の応答が鈍く、または過敏になることで起こる障害です。異常な食欲や食欲不振は、過度なストレスや継続的なダメージの蓄積である日突然始まり、自分では制御できなくなってしまいます。原因は一概に説明できないためここでは割愛しますが、体の疾患を伴わない食欲異常は放置すると治療が長引く可能性が高まるため、お早い通院をオススメします。

(※):過度な運動などで起こる神経性の拒食症等。体育学部の男性が多く起こすことでも知られています。

食欲を抑えることはできるの?

疑問のある女性

それでは本題です。病気の気配がないのに過剰な食欲でダイエットもままならない。そんなアナタに確認していただきたいポイントが10点あります。アナタはどれくらい当てはまりますか? 当てはまるポイントに気を配ることで、過剰な食欲は抑えられるかもしれませんよ♪

自分の体質を知らない

メタボイメージ

今や常識ではありますが、太りやすさは個人により異なります。そしてそれと同じく、「食欲」も遺伝子のレベルで異なることをご存知ですか。

幼児期の食欲に関する相関は5割弱もあるとされていて、これは人によって肥満になりやすい、食欲を感じやすいという違いが確実にあることを示しています。言いにくくはありますが、「あの人、いくら食べても太らないね」という反面、「少し食べただけで太る」というのは変えられない事実ということ。自分の体質を知ることで、対処の方法も変わるということです。ですから、もし自分が太りやすい体質ならば、人以上に自制心が必要になるということ。まずは認めることから始めるしかないということです。詳細は以下を御覧ください。

→ 子供の肥満は親の責任!? 体質に関する情報はコチラ

食欲は味覚によって異なる!

野菜を楽しむ女性

皆さんは自分の味覚がどの程度のものだと感じているでしょうか。

「私は舌に自信がある!」
「あんまり味覚に自信はないかな…」

人それぞれ自覚している味覚があると思いますが、実は味覚が悪い人ほど食欲が増してしまうというデータがあるのをご存知でしょうか。女性を対象にした食品表示と食欲に関する調査を行ったところ(※3)高い味覚を持つ女性は「健康的なサラダ」を食べたあと、その後の食べる量が抑えられたのだとか。逆に味覚の低い女性は「健康的なサラダ」を食べたあと、さらに沢山の食べ物を食べたそう。しかも味覚の良い人はサラダにあまり味付けもせず、味覚の悪い人は味の濃いサラダを好むそうで、より正しい舌を持つ人は、それほど過剰な食欲にならずにすむ傾向があるようです。味覚にあまり自信のないアナタ、実は人より食欲が上回ってしまう可能性を秘めています。ですから人より少しだけ、強い自制心を持つことが重要です。

→ 味覚にまつわる健康の話も合わせてどうぞ!

睡眠時間が短いと食欲が増す

眠り足りない女性

睡眠時間と肥満はこれまでにも多くの場所で議論され既に有名ですが、その根本的な原因はご存知ですか? 簡単に言えば、「食欲が増す」からです。そのままですね^^;

睡眠不足と食欲の増進に関しては本当に多くの実験(割愛)で明らかになっていますが、飽和脂肪の食欲、食事消費量の増加、身体活動量の低下などから別の疾患の原因になることも分かっています。またコレステロール値の上昇にも睡眠不足が悪いことが分かっているため、食欲だけでなく生活習慣病の心配もしなくてはいけません。睡眠時間の短いアナタ、食欲と睡眠不足は密接な関係にあります。まずはよく寝て、健康的な生活を取り戻しましょう!

→ 睡眠不足と健康にまつわる話はコチラ!

ストレスを溜めすぎている

困った子犬

過剰なストレスに晒されると、人はストレスに適応するため必要なエネルギーを体に求めます。すると結果的に正常な満腹感などが感じられなくなり、食欲が増してしまいます。いわゆる過食症の初期段階みたいなものですね。食欲異常の項でも書きましたが、場合にもよりますがストレスは人の食欲を増やす効果を持っています(※4)。脳はストレスを受け続けると、その機能を弱めます。ですからストレスを溜めすぎないよう、意識して発散してやることも重要です。

→ 脳に与えるストレスの悪影響はコチラ

朝食を抜いていると食欲が増す!?

良い香りのかぼちゃスープ

そんなことで食欲が増すの?と疑問に思う方もいるかと思いますが、この事実を聞くと腑に落ちるかもしれません(※5)

「米国人の多くは朝ごはんを食べない」

どうですか? 少し予感がしたのではないでしょうか。朝食は食欲調節と血糖コントロールを行う上で本当に重要と言われていて、ひいては肥満の大きな原因になると言われ始めています。コントロールを失った体は、時間が過ぎるにつれて大きな食欲に変化し脳を支配します。その結果、異常な食欲を発揮し沢山食べちゃう…、なんてことに。朝食を食べない人ほど成人病にかかりやすいことも分かっており、「食べなければ痩せるんでしょ?」という誰かの意見を真っ向から否定しています。もしアナタが朝ごはんを食べていないなら、そこから生活を見直してみませんか?

→ 朝ごはんにまつわる詳細はコチラ

食欲コントロールの鍵は午後にあり!?

午後の授業風景

朝食を抜いていると食欲が増すのと同じくして、人間の体は午後になると頭までダラけさせてしまいます。人の自制心と食欲を調査した結果、自制心は午後になるにつれて低下し、時間が深くなればなるほど低くなることが分かっています(※6)。朝、「今日は食事制限頑張るぞ!」と気合を入れても、「ま、これくらい良いか」と夕方お菓子を食べてしまう、という具合。残念ながら、人の自制心はそこまで完璧にできていません。

ですから食欲をコントロールするために重要なのは、「午前」ではなく「午後」の節制に集中すること。朝よりむしろ夜、食事を制限することで食欲をコントロールできるということです。そうすることで午後の食事量が減らせることも実証されていますので、体重を減らしたい人は特に午後の食生活を改善してみるのをオススメします♪

食物繊維が不足している

野菜イメージ図

以前より、食欲と食物繊維は密接な関係にあると言われています。食事中に摂取した食物繊維は、早期の満腹感の信号伝達や、長時間の腹持ちを実現してくれるありがたい存在であることが様々な実験で明らかになっています。何でも食物繊維は腸内で食物繊維以外の物質の粘度を上げて食欲を調節してくれる働きを持っているそうで、食物繊維が足りない人ほど、これら効果が薄いのだとか(※7)。その他にも食物繊維は直腸系の疾患や腸内環境の悪化を食い止めてくれることで知られているため、少し野菜不足を感じている方は率先して食物繊維豊富な野菜を食べてみると良いかもしれませんよ♪

→ 腸内環境の悪化についてはコチラもどうぞ

筋肉量が足りていない!?

自分を追い込む女性イメージ

子供を対象にした食欲調査で面白い結果がでているのをご存知でしょうか(※8)。子供の食欲と筋肉量を調べたところ、筋肉量の多い子供ほど満腹感の感度が良く、反対に体脂肪の多い子ほど食欲が大きい結果になったのだとか。子供はより欲求に正直な存在であり、結果が顕著に現れるため、これは大人に関しても言えることだと思われます。言い換えれば、「必要な筋力の無い人ほど食欲旺盛」の傾向があるということ。年齢別に必要な筋肉量は異なりますが、もし「運動不足で体も動かさないのに食欲だけが…」なんて方は、適度な運動で筋肉量を増やすことで食欲が抑えられるかもしれませんよ♪

食欲は視覚で制御する!?

眼鏡をした女性

何も考えず食欲のままにパクッ! でも少し待ってください。無関心に食べてしまう前に、アナタの手にある食べ物のことを考えてみましょう。こちらは飲料水とそのラベルに関する実験結果なのですが(※9)ラベルに書かれた現実をちゃんと読むことで、食欲が大幅に落ちることが分かっています。例を挙げればカロリー表示。お腹が減ったとお菓子とジュースを手にとったものの、そこに書かれたカロリー表示を見ることで自制心が働くということ。食べる前に、まず読む。その癖をつけるだけで、アナタの食欲は抑えられるかもしれませんよ♪

→ 健康は意識することから始まる! 意識の持つ健康効果

痩せない理由は食欲だけではない!

体重を量る女性

「これを全部試せば食欲を抑えられるぞ!」と拳を握ったアナタ。でもね、それだけでは足りないかもしれません。食欲と摂取エネルギー量を計測した多くの実験結果をまとめたレビューによると、食欲とエネルギーの摂取量は必ずしも比例せず、一概に食欲が肥満と直結しないのだとか(※10)。要するに、食欲がとんでもない人でもちゃんと自制してる人や、食欲があまりなくても沢山食べちゃう人もいるということ。「食欲を抑えたぞー」とガッツポーズしても、食欲がそれほどないタイミングで一杯食べちゃったら同じなんですね^^;

ですから、自分がどこでどれだけ食べているかを知ることも重要ということ。食欲ばかりに気を取られたらダメってことですね。いい教訓です♪

食欲のまとめ

食欲について見ていただきましたが、アナタはどれくらい当てはまりましたか?

沢山当てはまったアナタは、きっと生活を根本から見直す必要がある人です。一つずつで構いませんから、少しずつ生活習慣を改めてみましょう♪

健康は意識から!
あなたも今日から健康、はじめてみませんか?

参考文献


※1) :Ando, T., Sakai, H., & Uchiyama, Y. (2017). Association of physical activity and appetite with visual function related to driving competence in older adults. BMC geriatrics, 17(1), 96.
※2) :Stoeckel, L. E., Birch, L. L., Heatherton, T., Mann, T., Hunter, C., Czajkowski, S., … & Savage, C. R. (2017). Psychological and neural contributions to appetite self‐regulation. Obesity, 25(S1).
※3) :Vadiveloo, M., Morwitz, V., & Chandon, P. (2013). The interplay of health claims and taste importance on food consumption and self-reported satiety. Appetite, 71, 349-356.
※4) :Kinasz, K. R., Ross, D. A., & Cooper, J. J. (2017). Eat to Live or Live to Eat? The Neurobiology of Appetite Regulation. Biological psychiatry, 81(9), e73.
※5) :Pereira, M. A., Erickson, E., McKee, P., Schrankler, K., Raatz, S. K., Lytle, L. A., & Pellegrini, A. D. (2010). Breakfast Frequency and Quality May Affect Glycemia and Appetite in Adults and Children–4. The Journal of nutrition, 141(1), 163-168.
※6) :Boland, W. A., Connell, P. M., & Vallen, B. (2013). Time of day effects on the regulation of food consumption after activation of health goals. Appetite, 70, 47-52.
※7) :Kristensen, M., & Jensen, M. G. (2011). Dietary fibres in the regulation of appetite and food intake. Importance of viscosity. Appetite, 56(1), 65-70.
※8) :Steinsbekk, S., Llewellyn, C. H., Fildes, A., & Wichstrøm, L. (2017). Body composition impacts appetite regulation in middle childhood. A prospective study of Norwegian community children. International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity, 14(1), 70.
※9) :Billich, N., Blake, M. R., Backholer, K., Cobcroft, M., Li, V., & Peeters, A. (2018). The effect of sugar-sweetened beverage front-of-pack labels on drink selection, health knowledge and awareness: An online randomised controlled trial. Appetite.
※10) :Holt, G. M., Owen, L. J., Till, S., Cheng, Y., Grant, V. A., Harden, C. J., & Corfe, B. M. (2017). Systematic literature review shows that appetite rating does not predict energy intake. Critical reviews in food science and nutrition, 57(16), 3577-3582.