実は多い通勤にまつわる不健康の話。アナタの通勤、本当に健康的ですか?

2018年6月4日健康コラム,運動ストレス,健康コラム,睡眠,肥満,通勤,運動,運動不足健康コラム,運動,ストレス,健康コラム,睡眠,肥満,通勤,運動,運動不足

通勤イメージ

多くの社会人が経験する毎日の行動の一つ。それが通勤です。郊外から都心へ通勤する方などは、もっぱら1時間以上の移動も今や普通の時代です。しかし待ってください。皆さんは日頃し慣れたその通勤について、よく考えたことがありますか?

今回はそんな通勤と健康にまつわる話に触れてみたいと思います。

通勤は不健康の温床!?

風邪を引いたワンちゃん

満員電車に揺られながら、皆さんも一度は考えたことがあるはずです。

「こんな生活が一生続くのか」
「この人、香水キツくて嫌」
「夏の車内は暑いし最悪」
「痴漢にも会うし乗りたくない…」
「職場が遠すぎて寝てる時間がない」

こんな生活が健康的のはずがない!と思っている方も多いことでしょう。では実際のところはどうなのでしょうか。健康的なのか、不健康なのか、それぞれポイントに分けて見てみたいと思います。ポイントは全部で6つ+3つ。ご自身の健康の指針として確認してみてくださいね♪

通勤の不健康ポイント!

1.通勤はストレスの温床である
2.通勤時間が長ければ長いほど不健康
3.通勤の影響は女性ほど大きい
4.車通勤は通勤手段の中で最も不健康
5.通勤時間の長い家庭は上手くいかない!?
6.長い通勤時間はインターネット中毒の原因に…

だったらどうするのが健康的なの?

1.通勤手段を変えるだけでこんなに健康に!?
2.やっぱり田舎は健康にいい!?
3.30分以上体を動かした通勤は成績アップ!?

通勤はストレスの温床である

困った子犬

やはり皆さんの想像通り、一般的に言われる電車や車による通勤は、ストレスの原因となるようです。通勤とストレスの関係性について調べた様々な調査によれば、通勤のストレスは欠勤率や医療費の計上に至るまで様々な影響があるとされています(※1)。人それぞれ主観的なストレスの種類は違うため一概にこれと言うことはできませんが、高ストレス状態の人はそうでない人と比較し、年間5日の欠勤と関係があるとか。またこれらストレスはアルコールや喫煙などにも影響を与える可能性があることも知られています。駅の喫煙所を見ていただければ分かると思いますが、喫煙者は必ず電車に乗る前にタバコを吸いたくなるそうです(知人体験談であり実体験ではありません^^;)

また、週に6時間以上通勤に時間をかけている人を対象にした調査では、メンタルヘルスのスコアが大幅に低下することが分かっています(※2)。長時間通勤すればするほど、精神は削られていくという証拠です。やはりどれだけ快適に通勤できるか、というのは都市圏に住む人にとってどれだけ重要かが分かりますよね♪

通勤時間が長ければ長いほど不健康

車内イメージ

通勤時間と健康に関する知見は全世界的に見ても多く、様々な場所で実験や報告がされているのですが、おおよそ多くのものが「通勤時間が長いほど不健康」と結論付けています。例えば例に挙げてみますと、通勤時間が60分を超えるごとに6%もの健康関連リスクが増すとされていて(※3)、遠ければ遠いほど通院率が上がるというデータが(※4)。また通勤時間が1時間増えるごとに、睡眠時間が15分消失することも分かっていて、日々の睡眠不足の一端を担っていることも明らかになっています(※5)

また残念なことに、オーストラリアで発表された通勤に関する報告によると、週に6時間以上の通勤時間がある人は、そうでない人に比べ仕事の質も低下するのだとか(※2)。マイホームのために毎日2時間かけて通勤するお父さん。それで仕事の質が落ちていたら、少々本末転倒かもしれませんよ。

通勤の影響は女性ほど大きい

機嫌の悪い女性

通勤に伴う不健康なデータは多々ありますが、そのどれもが女性にとって苦痛なものか、男性には分からないことかもしれません。通勤に関わる心理的健康度の男女差を比較したところ、男性に比べ、女性のリスクは男性の比にならないほど高いのだとか(※6)。SNSなどで通勤における男女の格差のようなことが話題になることがありますが、そもそもからして通勤で受けているリスクが男性と女性で違っていることを知るのも重要です。男性側の安易な意見は、女性のメンタルをえぐっているという現実はどうやら事実のようです。

また女性は、通勤時間と運動時間が負の関係にあり(通勤時間が長いほど運動しない)、通勤時間が長ければ長いほど通院率も増していくという辛い状況(※4)。あまり無理をせず、持続可能な通勤時間を模索する必要がありそうです…

女性特有のリスクはまだまだある!

→ 骨折のリスクは男性より女性の方が圧倒的にリスク高!
→ メタボリックシンドロームのリスクも女性は激高なんです!

車通勤は通勤手段の中で最も不健康

運転する人

ここまで通勤の悪影響を書いてきましたが、さらに車通勤にはデメリットがあると言われています。それが自動車による排気です。車通勤による排気の影響は都市部になるにつれ増え、車通勤が多ければ多いほど排出されるガスもPM2.5も増えます。結果的に地域の環境を悪くし、健康被害も増えるという悪循環が指摘されており(※7)、もっと言えば電車通勤に比べてカロリー消費も低いという…。職場が郊外であれば話は別ですが、都市部への車通勤は、ストレスが溜まり、空気は悪くなり、さらに体も動かさないのでカロリーも消費しないという悪循環。行動の自由度というメリットを除けば、車通勤のメリットは低いようです。ちなみに車通勤の多い地域で最も悪影響を受けるのは徒歩通勤の方。長時間徒歩通勤するのは健康的ではありますが、空気の面では一長一短な部分がありそうです。

通勤時間の長い家庭は上手くいかない!?

喧嘩する男女

通勤時間の長さはストレスに繋がると前に書きましたが、実はそれに伴う家庭環境の悪化も指摘されています(※8)。なんと驚くことに、通勤時間のストレスは、家庭のストレスにも繋がるようです。

「通勤時間の長い共働きの夫婦 → 通勤ストレスを自宅に持ち帰る → イライラを家族へぶつける → 生活の質低下 → 事態は最悪の方向へ…」なんてことも実際にある話だとか。ストレスは低いにこしたことはありません。金銭面や時間面の制限は確かにありますが、それらと折り合いをつけ、良いバランスで生活することも重要ということです♪

ちなみにちゃんと朝ごはん食べないと、さらにストレスがたまるらしいですよ!

→ 朝ごはんは一日の始まりにとっても重要。快適な朝は朝ごはんから!

長い通勤時間はインターネット中毒の原因に…

スマートフォンを触る女性

インターネット環境が整った現代において、移動中の時間つぶしは「読書」や「睡眠」から、「スマホ」や「音楽」に切り替わりました。便利になりすぎた現代社会の温床ともいえるかもしれませんが、昨年発表された通勤における生活調査はとても興味深いものでした(※9)

「長時間の通勤はインターネット中毒の温床」

アナタも身に覚えがありませんか? 移動中、ずっとスマホをいじってゲームやインターネットに没頭している。恐らくアナタの周りにも沢山いるはずです。何でもそうですが、中毒は病気です。行き過ぎた依存は様々な悪影響を及ぼします。しかもその期間が長くなればなるほど、有病率も生活の不安も大きくなることが言われています。ちなみに人口の約1%がインターネット中毒と言われています。「インターネットに繋がっていないと不安」や「誰かから連絡があるかもしれない」なんてずっとスマホに触れているアナタ。たまにはゆったりと通勤中に小説など読んでみるのはいかがでしょうか。少し気分が変わるかもしれませんよ♪

中毒性については様々ありますのでこちらもぜひ!

→ 読書は体にも良い!? 読書が体にもたらす健康効果!
→ アナタの知らない事実。スマホの中毒性はこんなに凄まじい!
→ スポーツにも中毒性は存在する!? スポーツをやりすぎると体はどうなるか?
→ 砂糖も凄いんです。アナタの知らない砂糖の中毒性!
→ 最後はみんな大好きカフェイン! カフェイン中毒は結構恐ろしい?

だったらどうすれば良いの!? 改善点のススメ

疑問のある女性

漠然と移動するのが不健康であることは分かっていただけたと思います。ならば少し見方を変えてみましょう。アナタの通勤事態変えてみることで、健康的な生活が近づいてくるかもしれませんよ♪

通勤手段を変えるだけでこんなに健康に!?

自転車イメージ

通勤と健康を語る上で最も重要な点。それは通勤方法の代替です。簡単に言えば、電車での移動を自転車に変える。車での移動を自転車に変える。バスでの移動を自転車に変える、ということ。
こちらのテーマは、車や電車通勤に伴う電力や排気の問題も相まって、世界の都市で大きな改善点として指摘される壮大な問題であり、今後大きく見直される可能性のある健康課題です。オランダなどでは4人に1人が通勤通学に自転車を使うように変化したように、今後日本でも交通手段の一つとして見直されるかもしれません。何より、健康効果が大きいのが見逃せないポイントです。

通勤を自転車に変える健康的なメリットはもの凄く多く、それを示すデータも世界中で発表されています(本当に沢山あるため割愛)心血管リスクの減少、身体活動量増加、幸福度・心理的健康度増加、体重の減少、BMI低下、ガンの発生率や病気発症による死亡率、子供の運動能力向上、さらには通勤の楽しさまでが高いのが明らかになっていて、非の打ち所がありません。

また、これらは結果は車通勤や電車通勤に比べ格段に高く、1日あたり45分以上の時間になると最も高い効果があるのだとか(※10)。しかも効果は男性よりも女性が大きく、鬱屈したストレスを溜め込んでいる女性には特にオススメ! 真夏や真冬の移動は少々辛いこともあると思いますが、日頃のストレス解消を通勤で行えるのは大きなポイントです。「毎日は辛い」という方もいるかと思いますが、週に1日でもストレスの値は減るようですから、やってみる価値はあるというものですよね♪

絶対ダメ!ただし2点注意。
自転車通勤には怪我や事故のリスクが伴います。交通量の多い地域や、無謀な運転による事故は絶えず、現時点の日本はそこまで自転車に優しくないのも事実です。事故を起こしてしまえば健康うんぬんの話では済みません。必ずそれなりの準備を行い、実践をお願いします。
また、これら健康効果は地域により程度が異なるとされています。お腹周りの値が減っただけで、それほど健康に効果がなかったなんて話もありますから、大きすぎる効果を見込むのは微妙です。

注意!

・自転車の運転には充分注意すること
・効果には地域差があります!

やっぱり田舎は健康にいい!?

森林イメージ

人は仕事のある場所に集まるため、必然的に都市部に仕事も集まります。しかし人が住む場所は限られていて、ある人は近く、ある人は遠くなりがちです。「また今日も2時間かけて都心まで…」なんて生活も、確かに仕方ないかもしれません。でも待ってください。そんなアナタにもメリットはあるんですよ♪

スペインで発表された通勤とストレスの調査によると、通勤中に自然環境に多く触れた人ほどメンタルヘルスの数値が良かったのだとか(※11)。これで通勤時間のデメリットを相殺できるかは疑問ですが、少なくとも自然に触れることによるメリットは有るようです。毎日の生活に疲れてしまったそこのアナタ。ならばいっそのこと、田舎に仕事を求めてみるのもありかもしれませんよ!

30分以上体を動かした通勤は成績アップ!?

眼鏡をした女性

意識高い系の皆さんに朗報です。電車の中で漠然と本を読むより、30分以上体を動かして通勤する方が勉強や仕事の成績がアップするみたいです。

通学と学業成績を調べた調査結果によると、30~60分をかけて徒歩や自転車で通学した生徒は、別の生徒らと比べ高い学業成績であったことが分かっていて、前述のただ長い時間をかけて電車通勤する場合とは雲泥の差です(※12)。最近体の衰えを感じるお父さん、お母さん。少しだけ歩く距離を増やし、リフレッシュした頭でお仕事してみるのも良いかもしれませんよ♪

意識高い系の皆様。よろしければ一緒にヨガや休日の過ごし方などもいかがでしょうか。

→ 意識高い系御用達、健康的なヨガのススメ!
→ 健康的な人はどんなふうに過ごしてる? 健康的な休日の過ごし方!

通勤にまつわる健康の話 まとめ

いかがだったでしょうか。通勤一つを取っても健康や不健康に関わる話は尽きません。それでは簡単にまとめてみましょう。

通勤にまつわる健康まとめ!

毎日1時間以上の電車・車通勤はストレスの大きな原因。一部区間でも構わないので、自転車や徒歩に変えるだけで大きな健康効果があるかも!? 特に女性にオススメです♪

毎日お疲れの皆様には少々無茶を言いますが、体や気分のリフレッシュは本当に重要です。通勤時間に少しでもストレスが解消できるなら、それも幸せだと思いますよ♪

健康は意識から!
あなたも今日から健康、はじめてみませんか?

参考文献


※1) :Gottholmseder, G., Nowotny, K., Pruckner, G. J., & Theurl, E. (2009). Stress perception and commuting. Health Economics, 18(5), 559-576.
※2) :Milner, A., Badland, H., Kavanagh, A., & LaMontagne, A. D. (2017). Time spent commuting to work and mental health: evidence from 13 waves of an Australian cohort study. American journal of epidemiology, 186(6), 659-667.
※3) :Christian, T. J. (2012). Trade-offs between commuting time and health-related activities. Journal of urban health, 89(5), 746-757.
※4) :Künn‐Nelen, A. (2016). Does commuting affect health?. Health economics, 25(8), 984-1004.
※5) :Petrov, M. E., Weng, J., Reid, K. J., Wang, R., Ramos, A. R., Wallace, D. M., … & Zee, P. C. (2018). Commuting and Sleep: Results From the Hispanic Community Health Study/Study of Latinos Sueño Ancillary Study. American journal of preventive medicine.
※6) :Roberts, J., Hodgson, R., & Dolan, P. (2011). “It’s driving her mad”: Gender differences in the effects of commuting on psychological health. Journal of health economics, 30(5), 1064-1076.
※7) :Johansson, C., Lövenheim, B., Schantz, P., Wahlgren, L., Almström, P., Markstedt, A., … & Sommar, J. N. (2017). Impacts on air pollution and health by changing commuting from car to bicycle. Science of the Total Environment, 584, 55-63.
※8) :Rüger, H., Pfaff, S., Weishaar, H., & Wiernik, B. M. (2017). Does perceived stress mediate the relationship between commuting and health-related quality of life?. Transportation research part F: traffic psychology and behaviour, 50, 100-108.
※9) :Lachmann, B., Sariyska, R., Kannen, C., Stavrou, M., & Montag, C. (2017). Commuting, life-satisfaction and internet addiction. International journal of environmental research and public health, 14(10), 1176.
※10) :Humphreys, D. K., Goodman, A., & Ogilvie, D. (2013). Associations between active commuting and physical and mental wellbeing. Preventive medicine, 57(2), 135-139.
※11) :Zijlema, W. L., Avila-Palencia, I., Nieuwenhuijsen, M. J., & PHENOTYPE and BlueHealth study group. (2017). Active Commuting through Natural Outdoor Environments and Mental Health. Journal of Transport & Health, 5, S71-S72.
※12) :García-Hermoso, A., Saavedra, J. M., Olloquequi, J., & Ramírez-Vélez, R. (2017). Associations between the duration of active commuting to school and academic achievement in rural Chilean adolescents. Environmental health and preventive medicine, 22(1), 31.