本を読まない人は早死にする!? 読書が人の健康に及ぼす影響
皆さんは、最近何か本を読みましたか?
活字の本なんて随分と読んでない。そんな方も多いことでしょう。でしたら一つ、そんな皆さんに紹介します。
「日頃から本を読む人は、そうでない人に比べ死亡リスクが20%も低い」
この話、アナタは信じられますか? ということで、今回は読書と健康の関係について幾つか紹介してみたいと思います。
読書は人を健康にする?
漠然と死亡リスクが低くなると言われたところで、「そんなわけがない」と言われてしまえばそれまでです。しかし世界にはそんな疑問に答えるべく、日々研究や実験を重ねる人々がいます。そんなせっかくの知見、知らないのは損ですよね?
今回、読書が健康に良いとするポイントは8つ+α。読書の先に隠れているものについても合わせて知っていただきたいので、どうか最後までお付き合いを♪
1.読書は人の死亡リスクを下げる!
2.読書は病気のリスクと関連している
3.読書する人ほど痴呆リスクが下がる
4.読書しない人ほど太る
5.読書する人ほど精神疾患になりにくい
6.読書は人生を豊かにする
7.小学三年生までの読書習慣がカギ!?
8.自己啓発本は意外に役に立つ?
α.読む本は何でもいい!?
読書は人の死亡リスクを下げる!
「日頃から本を読む人は、そうでない人に比べ死亡リスクが20%も低い」
始めに書いたこちらの話。実は読書が死亡リスクを下げるという事実には、2つの理由があります。1つは読書による認知機能の保護や改善、そしてもう1つが社会的な知性の獲得と言われています。簡単に言えば、「読書により様々な知識を手に入れることができる上に、脳の機能をずっと保つことができる」ということ。人間、知らないことには対処のしようがありません。でももし知識があれば、対処することができます。それは病気も同じです。アメリカのイエール大学が発表した読書と健康に関する調査によると、3000人規模で12年間に渡る生存率の統計を取った結果、読書をする人はしない人に比べ、12年後の死亡リスクが20%も低かったのだとか(※1)。読書は体を健康にする。暗喩的ですが、どうやら事実のようです♪
ちなみにですが、これらは年齢によりません。同じように高齢者を対象にした読解力別の死亡率を調べた調査からも、読書をしない、いわゆる読解力の低い人ほど死亡率が高いことが分かっています(※2)。歳をとっても文字を読むのは重要ということです。老眼だから…なんて理由は許されませんよ!
読書は病気のリスクと関連している
死亡リスクの件とも重なりますが、読書は病気のリスクとも大きな関係を持っています。読書をする人ほど読解力、認知機能等が高いのは当然ですが、それらが低い人ほど、病気にかかる率や対処の有無に差が出ることが分かっています。
今ではインターネット上にも沢山の情報が転がっていますが、本を読まない群の人ほど、それらをすくい上げることができないことを多く指摘されています。
「私は馬鹿だから…」、なんてすぐに誤魔化してしまいがちですが、別に読書は本の程度に限りません。日頃から文字を読む癖をつけることで、幾らでも回避できます。たまには一日ゆっくりと、読みたかった本でも読んでみませんか?
読書する人ほど痴呆リスクが下がる
認知機能が上がる、ということは、痴呆のリスクが下がるのも当然です。
こちらはアメリカのピッツバーグ大学で行われた読書と痴呆に関する調査結果ですが、毎日1時間以上、読書や趣味に時間をかけている人は、将来の痴呆リスクを有意に下げることを指摘しています(※3)。ただし面白いことに、毎日1時間以上の時間を掛けていないと効果は低いのだとか。
本でも新聞でもなんでも構いません。毎日1時間、何かを読んだり楽しむ時間を自分のために作ってください。それがアナタの将来を助けるのですから…
読書しない人ほど太る
衝撃的な事実です。日頃から読書、ひいては文字を読む癖をつけていない人ほど太りやすいという事実が分かっています。こちらはお隣韓国で発表された文献なのですが、読書をしている人ほど「商品の栄養表示」を読んでいるということが分かったのだとか(※4)。そして栄養表示を読んでいない人ほど、メタボリックシンドロームになる人が多いことも分かっています。端的にまとめれば、「日頃から読書する人ほど太りにくい」ということ。なんでもかんでも漠然と食べちゃうアナタ。毎日少しだけ文字を読む癖をつけてみませんか? ちなみにこちらは女性ほど無頓着と言われているようで、「オシャレ!健康!」と流行りの物を食べるのは構いませんが、そこに何が含まれているか、ちゃんと読むことで太りにくい生活が待っているかもしれませんよ!
最後に。
「本ばっか読んでる奴の方が太ってる!」と言いがちなアナタ。読書が趣味という理由で体重が増えないことも他の文献で分かっています(※5)。むしろテレビばかり見てる方が太るらしいですよ。面白いですね♪
読書する人ほど精神疾患になりにくい
うつ病と読書の関係をまとめた調査によると、認知機能の高さと、うつ病の罹患率は歳を取れば取るほど効果が大きいようです(※6)。こちらの調査、厳密に言えばうつ病と認知障害に関する研究なのですが、認知機能の高さは読書の有無とも比例しているため、同様の結果が予想できると想像します。また読書と精神的疾患のリスク低下は、他(※1など)でも様々言われていて、今後様々な療法として世に出てくることが予想されます。選択肢が増えるのは良いことです。今後の展開に期待しましょう♪
読書は人生を豊かにする
こちらは医療系の学生を対象にした余暇の過ごし方に関する調査の結果(※7)。
読書はストレス軽減、思考力向上、コミュニケーション能力向上、共感力向上、などなど様々なメリットがあることを示しています。ストレス軽減以外は健康という観点からは少々外れますが、その他能力の向上が切っ掛けに金銭的向上が起これば、結果的に健康的な生活を送る確立は上がります。とても残念なことに、高所得者ほど健康的なレベルが高いのは、もはや常識です。豊かな人生は、確かな健康をもたらす。覚えておきましょう♪
小学三年生までの読書習慣がカギ!?
大人の皆さんには少々残念なニュースです。どうやらその後の読書習慣は、「小学校三年生」までに形成されるようです。三年生時点の基本的な読解力が、その後の成績や学歴に影響を及ぼすことが4000人規模の調査で分かったのだとか。三年生までに本を読む習慣や、基本的な読解力を得る努力をしなかった方の4分の1は、高校卒業に至らないという悲しい現実が。
親御さん、小さなうちからお子さんに読み聞かせや読書の習慣をつけてあげてください。所得が多い家庭ほど、読書率は有意に高いことが大昔から知られています。将来の健康や生活のためにも、読書は重要なポイントです!(※8)
自己啓発本は意外に役に立つ?
ここで意外な情報を。世間には必ず一定数、自己啓発本を馬鹿にしている方がいます。私はどちらでもありませんが、残念ながらこれは事実です。ただ、そんな方に知っていただきたい情報が一つ。カナダで行われた自己啓発本を読んだ方に関する調査を行った結果、100人のうち96人がそこから重要なことを学び、75人が生活の何かを変え、56人が本に近づくよう行動を変えたのだとか(※9)。しかも面白いのは、それらの結果は満足度などの個人評価が高く、あながち馬鹿にしたものではないということ。
要は、「自己啓発本の中身」が伴っていれば、効果がある。もっと大袈裟に言えば、人生すら変えることがあるということ。妄信的に突っ走ってしまいがちな方にオススメはできませんが、客観的判断ができる人が「素晴らしい一冊」を手に入れた時、そこには新しい何かが生まれるのかもしれません♪
読む本は何でもいい!?
最後に補足です。
「俺、漫画しか読まねぇ」
「私も新聞しか読まないわ」
こんな声をたまに聞きます。ただ安心してください。どんな本であれ、一定の効果があることをこちらの調査結果が示しています(※10)。雑誌を読む若者と性的健康度を調べた結果、雑誌を読んでいる人ほど健康知識が高いとのこと。確かに活字の本を読む方が健康効果は高いと様々な文献で言われていますが、結局のところ、どんな文章や雑誌でも「読まないよりマシ!」ということは明らかなのです。
どんなに下劣な内容でも、馬鹿馬鹿しくても、何らかの知識にはなっている。前提として健康に悪いことを真似るのは悪ですが、それを教訓にすることで生活は変えられます。受け方は人の心一つです。まずは少しずつ、読むことに慣れるのが重要かもしれませんね♪
読書と健康に関するまとめ
読書と健康の関係、いかがだったでしょうか。一見、健康と関係がないように思えることでも、実はその後の生活と密接に関わっていることは沢山あります。読書もその一つです。
「もう長いこと読書なんてしていない」というアナタ。たまには雑誌や文庫本の一つでも買って読んでみませんか? 案外、それで人生が変わったりするかもしれませんよ♪
健康は意識から!
あなたも今日から健康、はじめてみませんか?
参考文献
※2) :Bostock, S., & Steptoe, A. (2012). Association between low functional health literacy and mortality in older adults: longitudinal cohort study. Bmj, 344, e1602.
※3) :Hughes, T. F., Chang, C. C. H., Vander Bilt, J., & Ganguli, M. (2010). Engagement in reading and hobbies and risk of incident dementia: the MoVIES project. American Journal of Alzheimer’s Disease & Other Dementias®, 25(5), 432-438.
※4) :Kim, M. G., Oh, S. W., Han, N. R., Song, D. J., Um, J. Y., Bae, S. H., … & Hong, S. W. (2014). Association between nutrition label reading and nutrient intake in Korean adults: Korea National Health and Nutritional Examination Survey, 2007-2009 (KNHANES IV). Korean journal of family medicine, 35(4), 190-198.
※5) :Sisson, S. B., Broyles, S. T., Baker, B. L., & Katzmarzyk, P. T. (2011). Television, reading, and computer time: correlates of school-day leisure-time sedentary behavior and relationship with overweight in children in the US. Journal of Physical Activity and Health, 8(s2), S188-S197.
※6) :Miller, B., Hudson, C., & Gong, G. (2017). Depression is associated with lower American National Adult Reading Test scores among rural dwellers aged between 50 and 64 years in Texas: A Project FRONTIER Study. The Southwest Respiratory and Critical Care Chronicles, 5(21), 16-20.
※7) :Watson, E. M. (2016). The importance of leisure reading to health sciences students: results of a survey. Health Information & Libraries Journal, 33(1), 33-48.
※8) :Hernandez, D. J. (2011). Double Jeopardy: How Third-Grade Reading Skills and Poverty Influence High School Graduation. Annie E. Casey Foundation.
※9) :Mclean, S. (2014). Learning on the margins of adult education: Self-help reading about health, relationships, and career success. Studies in the Education of Adults, 46(1), 4-22.
※10) :Walsh, J. L., & Ward, L. M. (2010). Magazine reading and involvement and young adults’ sexual health knowledge, efficacy, and behaviors. Journal of Sex Research, 47(4), 285-300.
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