芸術は健康だ! 美術や芸術が体に与える健康効果7選

2018年5月11日健康コラムストレス, 健康コラム, 精神的な疲れ, 美術, 芸術健康コラム, 健康コラム, 精神的な疲れ, 美術, 芸術

美術館イメージ

大人になれば、誰しも一度や二度、美術館などで芸術に触れる機会があると思います。荘厳な雰囲気の中で美しい美術品を眺めるのもまた一興。心豊かな生活には欠かせません。ということで芸術の秋には少々早いですが、今回は芸術と健康の関係性について紹介してみたいと思います。

美しいものは健康に良い!

ストレッチする女性

言うまでもなく精神的苦痛は人間の体を蝕みます。日々受けるストレスや、迫り来るプレッシャーは年々増しており、今や社会問題となっています。ところで話は変わりますが、近年『芸術』と『健康』を結びつける文献が数多く発表されていることはご存知でしょうか? ストレスの根本的な解決策というわけにはいきませんが、どうやら芸術は疲れた皆さんの心を癒やしてくれるかもしれません。

ということで、ここでお教えしたい芸術が体に与える健康効果は7つ。こちらをご覧いただければ、週末は近くの美術館に行きたくなること請け合い!?

7つのポイント!

1.芸術は薬である!
2.芸術的な活動はストレスを解消する!
3.芸術は子供の情操教育に最適!
4.芸術には健康維持効果がある!?
5.お医者さんにも芸術は重要!?
6.芸術は認知症にも有効かも!?
7.芸術の健康効果は複数人の方が高い!?

芸術は薬である!

壺のイメージ

「 芸術は薬である 」

なにもこれは私の私感ではありません。近年盛んに言われ始めている事実です。漠然と言われても信じられないと思いますので、幾つか紹介してみましょう。こちらは精神的な疾患のある患者さんを対象にした調査の結果なのですが、視覚的な芸術を用いたところ、患者さんの投薬量が有意に減ったというもの。変えたのは病院の一角に視覚的な芸術品と分かるものを置いただけ、というのが凄いと思いませんか。対象がある場合と、ない場合で投薬量に大きな差が出たそうです(※1)

他にも同じような結果は沢山あり、美術館へ訪れたお客さんを対象に脈拍等のデータを取った取ったところ、心拍変動や心拍数レベルの安定が見られたとされていたり、別の研究でも患者さんの回復プロセスに大きな支援をしたと結論付けられています(※2)

これらはただ漠然と芸術に触れるだけでも、「ストレスの解消や精神的安定に効果がある」という結果だと思います。個人的ではありますが、今後はより具体的な芸術の健康効果が出されるだろうと予測しています。芸術に触れるなら今からだと思います♪

芸術的な活動はストレスを解消する!

絵を描く女性

見るだけでも効果があるのですが、やはり芸術に触れることでも効果はあるようです。大学生を対象にしたアメリカの研究結果によると、グループで行うアートのレクリエーションに参加した際、有意に不安のレベルが下がったと発表されています。面白いのは「活動が終わってすぐ」には、前の状態(通常のストレス状態)に戻っていたという点。これは活動自体にストレスを下げる効果があったと言い換えることができますよね(※3)

また、こちらもアメリカで行われた調査結果によると、慢性的な疾患のある女性に芸術的活動を11週間続けてもらった結果、生活の質や痛み、精神的健康などに効果があったとしています(※4)。芸術的活動が精神的ストレスだけでなく、慢性的な疾患にも効いた可能性があるというのは驚きです。

このように、芸術的な生活に自ら触れるのはストレスの解消だけでなく、体にも変化を与えるのかもしれませんね♪

芸術は子供の情操教育に最適!

絵を描く子供

何も芸術は大人だけに有効なものではありません。子供の情操教育にも大きな効果が見られることが分かっています。

ストレス度の高い子供達を対象に行った調査結果によると、アート的な活動は子供の心理的健康やその後の自己効力感を高める効果があったとまとめています。自己効力感は、言い換えれば「未来を予測し必要な行動を起こそうとするモチベーション」を指します(※5)。やっぱり何でも無気力でつまらない子供より、意欲的に何でもやってみようとする子供の方がいいですよね。小さなお子さんのいる親御さん、一考の価値有りですよ!

芸術には健康維持効果がある!?

劇場イメージ

芸術には健康を持続する効果があるのかもしれません。こちらは約2年に渡って芸術的な活動を行うグループを対象に、健康に与える影響を調査した結果なのですが、メンタルヘルスだけでなく、老化プロセスを遅らせる「若返りホルモン」として有名なデヒドロエピアンドロステロンなどが増えるのだとか。継続的な芸術活動には大きな健康効果が眠っているのかもしれません(※6)。またこういった活動は、子供などの情操教育にも良いとされているため、社会常識を学ぶ場にもなるかもしれませんね♪

お医者さんにも芸術は重要!?

OKサインを出す医師

芸術は医学を志す方にも重要だとされています。驚いたことに、幾つもの文献(※7)では医学を扱う上での芸術と文学的教育の重要性を指摘しています。簡単にまとめると、患者さんやそれを取り巻く環境への共感性や人間力を高めるためとされることが多いようですが、臨床実験などチームで行う作業に従事する先生などは、美術活動を共に行った場合のチームワーク向上なども挙げられています。また視覚的な芸術性の高い訓練は意思のパフォーマンスを高める可能性があるという文献(※8)などもあります。芸術的センスは良いお医者さんになるための重要なポイントなのかもしれませんね♪

芸術は認知症にも有効かも!?

杖をついた老人

以前より、芸術は認知症の症状改善に効果があるかもしれないと言われています。その効果については未だ不明瞭ではありますが、幾つかの実験で、それら効果を指摘しています(※9)。正直なところ、現段階では病気自体に効果があると言い切れませんが、「症状を遅らせる」、また「生活の質を上げる」という効果については、一定の効果があると言っても良いのではないでしょうか。

例え認知症になっても、芸術で楽しむことはできます。あまり悲観せず、たまには美しい絵画などゆっくり眺めてみてはいかがでしょうか♪

 

芸術の健康効果は複数人の方が高い!?

絵を鑑賞する人達

もし芸術を楽しむなら、一人でなく誰かと楽しむほうが効果が高いのかもしれません。こちらは精神的疾患のある患者さんと、その介護を行う家族を対象にした、芸術鑑賞の健康効果を調査した結果なのですが、複数人でギャラリーを楽しむことにより、自分とは違う芸術観や感性、審美性などから、一人とは違う相乗効果や刺激が得られ、精神衛生、反射性、さらには外在化(自分一人でなく外と関わること)まで確認できたのだとか(※10)。精神的な疲れは、やはり一人で抱え込みがちになります。そんな時、誰かがそっと誘ってみてください。

「静かな美術館でも一緒にどう?」

こんな単純な一言で、意外な未来が待っているかもしれませんよ♪

まとめ

芸術は人間の歴史と同じくらいの歴史がある、人の生活とは切っても切れない関係のある『文化』です。そしてこの『文化』がずっと続いてきたことには理由があると、私は思っています。

『 芸術は健康だ! 』

結構語呂が良いと思いませんか(笑)
岡本太郎的で私は好きです。

芸術といえば、私はアルフォンス・ミュシャの作品が好きで、堺市文化館で常時展示されている「ラ・ナチュール」は格別の美しさを誇る一品と言えます。18年の7/8まで当美術館でミュシャの企画展を催していますので、お近くの方は一度足を運ばれてはいかがでしょうか。オススメです!(こちらからどうぞ)

健康は意識から!
あなたも今日から健康、はじめてみませんか?

参考文献


※1):Nanda,U.,Eisen,S.,Zadeh,R.S.,& Owen, D.(2011). Effect of visual art on patient anxiety and agitation in a mental health facility and implications for the business case. Journal of Psychiatric and Mental Health Nursing, 18(5), 386-393.
※2):Makin,S.,& Gask,L.(2012).Getting back to normal: the added value of an art-based programme in promoting ‘recovery’for common but chronic mental health problems. Chronic illness, 8(1), 64-75.
※3):Aaron,R.E.,Rinehart,K.L.,& Ceballos,N.A.(2011). Arts-based interventions to reduce anxiety levels among college students. Arts & Health, 3(01), 27-38.
※4):Kelly,C.G.,Cudney,S.,& Weinert,C.(2012). Use of creative arts as a complementary therapy by rural women coping with chronic illness. Journal of Holistic Nursing,30(1),48-54.
※5):Mueller,J.,Alie,C.,Jonas,B.,Brown,E.,& Sherr,L.(2011). A quasi‐experimental evaluation of a community‐based art therapy intervention exploring the psychosocial health of children affected by HIV in South Africa. Tropical Medicine & International Health, 16(1), 57-66.
※6):Romanowska,J.,Larsson,G.,Eriksson,M.,Wikström,B.M.,Westerlund,H.,& Theorell,T.(2011). Health effects on leaders and co-workers of an art-based leadership development program. Psychotherapy and psychosomatics, 80(2), 78-87.
※7):Jones, D. S. (2014). A complete medical education includes the arts and humanities. Virtual Mentor, 16(8), 636.
※8):Katz,J.T.,& Khoshbin,S.(2014). Can visual arts training improve physician performance?. Transactions of the American Clinical and Climatological Association,125,331.
※9):Chancellor,B.,Duncan,A.,& Chatterjee,A.(2014). Art therapy for Alzheimer’s disease and other dementias. Journal of Alzheimer’s Disease, 39(1), 1-11.
※10):Roberts,S.,Camic,P.M.,& Springham,N.(2011). New roles for art galleries: Art-viewing as a community intervention for family carers of people with mental health problems. Arts & Health, 3(2), 146-159.