朝ごはん、ちゃんと食べてますか? 健康と朝食の密接な関係性とは
季節の変わり目は、生活が不規則になりがちです。ところで皆さんは、ちゃんと毎日朝ごはんを食べていますか? 日本で育った方ならば、小・中・高と、事あるごとに「ちゃんと朝ごはんを食べてきましたか」と聞かれたはず。しかしそれでも「食べてない」なんて声をチラホラ聞きます。
・朝は何も食べたくない
・昔から食べないから
・朝食べると胃がもたれる
食べない理由は様々あると思いますが、実は朝ごはんを食べろと言うのには沢山の理由があります。お父さんお母さん世代になると、「頭が働かない」とか「集中できない」など、過去に漠然と聞いた曖昧な情報を覚えているかと思いますが、当然今は時代が進んでいます。しっかりとした知識をおさらいし、お子さんに正しい朝ごはんの意味を説明できるようにしましょう!
朝食を食べると健康になる!?
皆さんも一度は聞いたことがあるはずです。
「朝食を食べると健康になる」
子供の頃から学校や家庭で頻繁に言われてきた言葉です。ただ、漠然と健康になると言われても納得できないのが人というもの。しかし、朝食にどんな意味があり、どんな効果があるのか。それが分かれば行動も変わるかもしれません。今回紹介したい、朝ごはんの健康効果は8つ。どちらかと言えば、大人のためでなく、お子さんをお持ちの親御さんに読んでいただきたい内容となっています。
2.朝食と学業成績は直結している
3.意識した朝食で内臓脂肪が減る
4.朝食を食べると糖尿病リスクを下げる
5.朝食を食べると午後の体調が安定する
6.疲れている人ほど朝食を…
7.朝食を抜くと持久力が低下する!?
8.朝食を食べない人は総じて不健康な生活をしている
朝食を食べても痩せはしない。ですが…
まず前提として1つ。稀に聞こえてくる話に、「ちゃんと朝食を食べると痩せる」という噂がありますが、様々な文献や実験を考慮しても、残念ながらちゃんと朝食を食べても痩せることはなさそうです。しかし待ってください。痩せはしませんが、『太らない』のは事実なようです。
朝食と肥満については世界中で数多くの調査研究が行われていて、『朝食を抜くことが肥満につながる』というのが明らかになりつつあります。しかも問題なのは、これが『大人より子供に影響が大きい』という点。どうやらミソは子供時代の生活にあるようです。
日本だけでなく、世界各国でも食育は重要な健康ファクターの1つとなっていて、とりわけ肥満化の進んだ国では国策にも位置づけられる重要な課題です。そこで最近注目されているのが、子供の朝食というのをご存知でしょうか。
子供時代の朝食習慣が、将来の肥満を誘発する。そう言われて皆さんは信じるでしょうか? ですが、どうやら間違いなく子供時代の食生活は肥満に直結しているようです。
子供の朝食習慣を調べた調査(※1-4)によると、朝食を食べない子供は、体重やBMIの増加、ソフトドリンク消費量増加、ファーストフード消費量増加、代謝不全、食欲増加、脂質増加などなど、数えきれないほどの悪影響が出ることが分かっています。しかもその影響は時間が過ぎてからも有効で、過去の朝食習慣が歳をとってからの健康率に大きく響いてくるのだとか。調査では43歳を対象としていますが、これは笑えない結果です(※5)。
世のお父さん、お母さん。肝心なのは子供時代の食生活です。お子さんの健康は、親にかかっているのだと自覚することが重要です。
朝食と学業成績は直結している
一度は聞いたことがあるはずです。朝ごはんを食べないと頭が働かないという噂。ですがご安心ください。それは噂ではなく、真実です。実際に朝ごはんを食べないと、確実に学業成績は落ちます。
こちら9~11歳の子供を対象に二年弱の期間で取ったデータを元にした調査結果なのですが、朝食の有無が『全ての教育成果』に関係していたと結論付けています(※6)。しかも面白いのは、『何を食べるか』は関係なく、『食べているかいないか』が重要だということ。朝食を食べていないだけで、前提からマイナスのスタートとなる訳です。口酸っぱく「勉強しなさい!」とお子さんに言い続けているお母さん。ちゃんと朝ごはんは食べさせていますか? 言うは易く行うは難し。まずは己から見直してみるのも重要です。
ちなみにですが、食べた物によって成績が変わることも言われています(※7)。低GI/GLの食事が認知力やパフォーマンスの向上に繋がるのだそう。炭水化物の取りすぎや果汁は、読解力や数学力の低下が見られるのだとか。受験を控えた受験生やお母さんは、当日の食事を気にしてみるのも良いかもしれませんね♪
意識した朝食で内臓脂肪が減る
不摂生が祟り、お医者さんに内臓脂肪を指摘されているお父さん。そんなあなたに朗報です。健康に意識した朝ごはんを食べることで、内臓脂肪が取れるようです。
スウェーデンのウプサラ大学(北欧最古の有名大学です)が発表した研究結果によると、少し体重がオーバー気味の人を対象に朝食のメニューを、いつもの物から健康的なもの(低脂肪牛乳、全粒パン、低脂肪の付加物など)に変更して生活したところ、体重やLDLコレステロール値、脂質などに変化は見られなかったものの、内臓脂肪や炎症マーカーの値は有意に改善したのだそう(※8)。
「体重減らないんじゃ意味ないよ」と聞こえてきそうですが、生活習慣病などに直結する内臓脂肪は確実に減らせるんですから、やってみる価値はありませんか?
朝食を食べると糖尿病リスクを下げる
こちらは愛知県の労働者を対象にした調査結果。毎日朝食を食べる方と、そうでない方を9年弱の期間で調べた結果、朝食を食べている方々は、男女ともに2型糖尿病のリスクが低いことが明らかになっています(※9)。また、朝食の内容でもリスクが分かっていて、高繊維質の食べ物を食べた人ほど糖尿病リスクが低いのだとか。こちらは子供を対象にした調査結果ですが(※10)、大人でも少なからず影響はあると思われます。意識した朝食が糖尿病のリスクを下げるのは確実です♪
朝食を食べると午後の体調が安定する
朝ごはんを食べないと一日の調子が出ないというのは事実なようです。朝食を食べた場合と、食べなかった場合の午後の血糖値を調べた実験によれば、朝食を食べた場合は総的なエネルギー摂取量は増えるものの、午後から夕方にかけての血糖値が安定し、体の動きやすさという点ではメリットがあるのだとか(※11)。痩せている人であれば、代謝や体の動き自体にも差が出るようで、「朝食の重要性は午後に出る」というのを覚えておくのは重要です
疲れている人ほど朝食を…
忙しすぎる現代。総じて人々の体や心も疲れていることでしょう。精神をすり減らし、毎日胃が痛むような生活を送っている方も多いと思います。そうすると、「今朝はちょっと調子悪いから朝ごはんは…」となりがちです。しかし待ってください。それ、悪循環の始まりです。
朝食と精神的健康を調査した内容によると、朝食の有無と精神的な健康状態は相関しているのだとか(※12)。言い換えれば、『疲れている人ほど朝食を食べない』ということ。この調査はうつ病との関連を調べたものですが、その前段階や精神的疲労に関しても、恐らく同じ結果が出ることでしょう。「朝ごはんも食べたくない」という時ほど、簡単なものでも良いですから、ちゃんと口にするのが重要です。
ちなみに小さなお子さんの場合、朝食に牛乳とタンパク質多めのご飯を食べると生活のリズムが朝型になる効果があり、しかも精神的な安定も得られると言う調査結果が(※13)。1~6歳のお子さんがいるお父さんお母さん、オススメです♪
朝食を抜くと持久力が低下する!?
質問です。スポーツをする上で朝食は重要でしょうか?
どうやら答えは『はい』となりそうです。朝食を食べなくとも基礎的な代謝に影響がないことは以前から分かっていましたが、近年朝食を抜いた場合、持久力運動のパフォーマンスが落ちるのではないかと言われ始めています。朝食を食べないことでエネルギー摂取量を減らすことはできるものの、抜いてしまった場合、エネルギーの支出に関連する体の機能に影響を及ぼすと言われているようで、アスリートほどしっかりと朝食を食べる必要性があるのかもしれません。現時点ではあくまでも可能性ですが、スタミナを主とする競技の皆さんは覚えておくと良いかもしれませんね♪
朝食を食べない人は総じて不健康な生活をしている
こちらは朝食の有無で分けた健康状態を調査した結果なのですが、もの凄く単純な結論として、『朝食を食べていない人ほど不健康』というのは確かなようです(※14)。
朝食習慣別の健康度合や病気の有病率などを調べたところ、朝食習慣の悪い人ほど健康的なスコアが低かったのだとか。言い換えれば、「朝食を食べていない人は、その他でも不健康な生活を送っている」ということ。"朝ごはんぐらい"、という意識から不健康は始まる。こんな部分までデータが示しているのです。当サイトでは、『健康は意識から』と口を酸っぱくして言い続けていますが、どうやら間違いはないようです。不摂生が気になるあなた。まずは朝ごはんから改めてみませんか?
まとめ
今回は朝ごはんの重要性を見ていただきました。たかが朝ごはん、されど朝ごはん。いい加減に考えていると、ある時痛すぎるしっぺ返しを受けるかもしれませんよ!
健康は意識から!
あなたも今日から健康、はじめてみませんか?
参考文献
※2) :Fayet-Moore,F.,Kim,J.,Sritharan,N.,& Petocz,P.(2016). Impact of breakfast skipping and breakfast choice on the nutrient intake and body mass index of Australian children. Nutrients, 8(8),487.
※3) :Leidy,H.J.,Hoertel,H.A.,Douglas,S. M.,Higgins,K.A.,& Shafer,R.S.(2015). A high‐protein breakfast prevents body fat gain, through reductions in daily intake and hunger, in “Breakfast skipping”adolescents.Obesity,23(9),1761-1764.
※4) :Kesztyüs,D.,Traub,M.,Lauer,R.,Kesztyüs,T.,& Steinacker,J.M.(2017). Skipping breakfast is detrimental for primary school children: cross-sectional analysis of determinants for targeted prevention. BMC public health,17(1),258.
※5) :Wennberg,M.,Gustafsson,P.E.,Wennberg,P.,& Hammarström,A.(2015). Poor breakfast habits in adolescence predict the metabolic syndrome in adulthood. Public health nutrition,18(1),122-129.
※6) :Littlecott,H.J.,Moore,G.F.,Moore, L.,Lyons,R.A.,& Murphy, S. (2016). Association between breakfast consumption and educational outcomes in 9–11-year-old children. Public health nutrition,19(9),1575-1582.
※7) :Ptomey,L.T.,Steger,F.L.,Schubert, M.M.,Lee,J.,Willis,E.A.,Sullivan,D.K.,& Donnelly, J. E.(2016). Breakfast intake and composition is associated with superior academic achievement in elementary schoolchildren. Journal of the American College of Nutrition,35(4),326-333.
※8) :Adamsson,V.,Reumark,A.,Marklund,M.,Larsson,A.,& Risérus,U.(2015). Role of a prudent breakfast in improving cardiometabolic risk factors in subjects with hypercholesterolemia: a randomized controlled trial. Clinical Nutrition,34(1),20-26.
※9) :Uemura,M.,Yatsuya,H.,Hilawe,E.H., Li,Y.,Wang,C.,Chiang,C.,& Aoyama,A. (2015). Breakfast skipping is positively associated with incidence of type 2 diabetes mellitus: evidence from the Aichi Workers’Cohort Study. Journal of epidemiology,25(5),351-358.
※10) :Donin,A.S.,Nightingale,C M.,Owen,C.G.,Rudnicka,A.R.,Perkin,M.R.,Jebb,S. A.,& Whincup,P.H. (2014). Regular breakfast consumption and type 2 diabetes risk markers in 9-to 10-year-old children in the child heart and health study in England (CHASE): a cross-sectional analysis. PLoS medicine,11(9),e1001703.
※11) :Betts, J. A., Richardson, J. D., Chowdhury, E. A., Holman, G. D., Tsintzas, K., & Thompson, D. (2014). The causal role of breakfast in energy balance and health: a randomized controlled trial in lean adults–. The American journal of clinical nutrition, 100(2), 539-547.
※12) :Lee, S. A., Park, E. C., Ju, Y. J., Lee, T. H., Han, E., & Kim, T. H. (2017). Breakfast consumption and depressive mood: A focus on socioeconomic status. Appetite, 114, 313-319.
※13) :Kawada, T., Takeuchi, H., Nakade, M., Tsuji, F., Krejci, M., Noji, T., … & Harada, T. (2016). Questionnaire and Intervention Study on Effects of Drinking Cows’ Milk at Breakfast on the Circadian Typology and Mental Health of Japanese Infants Aged 1-6 Years. Natural Science, 8(09), 381.
※14) :Chen, J., Cheng, J., Liu, Y., Tang, Y., Sun, X., Wang, T., … & Wu, S. (2014). Associations between breakfast eating habits and health-promoting lifestyle, suboptimal health status in Southern China: a population based, cross sectional study. Journal of translational medicine, 12(1), 348.
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