朝から憂鬱な雨。そんな天気があなたの体に及ぼす健康の話題
薄暗く陽の光が陰った雨降りの朝。
そんな日は気持ちも暗くなってしまいがちですよね。
「そんなことないよ」と言うそこのあなた。天候は本当に人の健康に影響を与えるんですよ。
ということで、今回は天候と健康にまつわる話題に触れてみたいと思います。
天気が健康に影響する?
実は天候と健康は密接な関係にあるとされていて、古くから天候科学は人間のリズムに結び付けられてきました。誰しも一度は経験があると思いますが、
・天気が悪くなると頭が痛い
・低気圧が近づくと関節が痛む
・気圧の関係で息苦しい
などといった症状はよく聞く話です。影響を受けやすいのは、男性よりむしろ女性に多いとされていて、より天候に敏感であるとされています。一般的に「気象病」などと言われる症状ですね。ずっと日本に住んでいるとピンとこない方もいらっしゃると思いますが、実はアジア太平洋地域は世界でもダントツの気候変動地域として認知されていて、最も天候や天災によるリスクが高い地域として知られています(※1)。頻繁に起こる台風(大雨)や地震などを想像していただければイメージは湧くと思います。早い話、アジア太平洋地域に住む人ほど天候を気にすべきということです。
さて、ではどのような条件が人を不健康にするのでしょうか。一つずつ条件を確認してみましょう。
2.極端な湿度
3.天候変化によるアレルギー疾患
4.天候不順による感染症拡大
5.気圧の変化
6.大気・空気の質、汚染
ex.気候変動とお薬の影響も!?
極端な気温
天候を語る上で、最も人の健康に影響を与えると言われているもの。それは気温です。極端な気温変化(上下共)は、人の健康に多大な影響を及ぼします。当然と言えば当然ですよね…。ただこれら影響を受けやすい人についてはあまり知られていません。いつもと異なる気象の変化に敏感な人、それは主に病気を持っていない普通の人であるということ(※2)。意外じゃありませんか?^^;
具体的には、「女性、高齢者、一人暮らしでない人、高所得者、生活習慣病を患っていない人」とされていますが、これらの方々は少なくとも極端な気温の変化によって健康リスクがあるということ。言い換えれば、誰にでも影響があるってことです。
極端な高温や低温は、心臓疾患(主に心筋梗塞)や心血管の疾患が増えることがわかっています。ちなみに高温と低温では差があって、高温は低温の5倍もリスクが高いのだとか。急激な温度の上昇は心臓に大きな負担がかかるということです。
また急激な温度の変化は、呼吸器疾患で死亡するリスクが大幅に上がります。暑さで感じる息苦しさは、呼吸器にダメージを負っているのと同じということです。高齢者の方などは本当に注意が必要なんです。春を迎える季節が近づき、気温は急激に上昇します。体調を崩さないよう、意識的に身の回りの温度を調整してみると良いかもしれませんね♪
ちなみに低温にまつわる別の話はこちら
極端な湿度
極端な湿度の変化は血圧や心疾患への影響はないとされていますが、一部では高血圧性の尿路疾患が起こり得るという興味深い点が指摘されています。簡単に言うと、湿度が高すぎるとオシッコの異常が出るかもということです。日本の夏は異常な湿度に達するため、水分補給が重要になりますが、そこに合わせて尿路の疾患リスクが高まるのはいただけません(※3)。
また極端に低い湿度は、肺疾患や呼吸器系のウイルスに繋がることもよく知られています。カビやアレルギー、インフルエンザも天候の影響によって影響が出ます。
ほかにも湿度は胃腸や泌尿器に影響を及ぼすこともわかっています。こちらは湿度が上がると感染症にかかりやすくなるのが原因なのですが、調査対象に日本が入っている点は極めて重要です。
天候変化によるアレルギー疾患
こちらもあまり知られていませんが、気候の変化は空中のアレルゲンを変化させることがわかっています。しかも問題なことに、農村部と比較して都市部はその影響が大きいこともわかっています(※4)。引き起こす症状としてはアレルギー性呼吸器疾患や喘息とされていますが、季節の変わり目に体調を崩しやすいと思っていたら、実はアレルギー性の呼吸器疾患や喘息だったなんてことがあるかもしれません。健康診断などで血液検査をすることがあると思いますが、気になる方は自分のアレルギーを知っておくと良いでしょう。意外なところに不調の原因が隠れているものですよ
天候不順による感染症拡大
天候の不順は感染症のリスクを増大させる大きな原因になっています(※4)。日本ではあまり一般的ではなくなりましたが、マラリヤやデング熱、コレラ、動物性感染症やナイルウイルスなど、海外に行けば、まだまだ普通に存在する病気です。サルモネラ菌などは国内でもまれに食中毒の原因として聞くこともありますよね。こちらも湿度や降水量といった天候が原因で発生するものですので、暑い時期や湿度の高い時期に行うキャンプなどでは注意が必要です。
気圧の変化
ハーバード大学の発表している天気変化と健康に及ぼす影響まとめによると、気温、気圧、風速の大きな変化がなければ、年間で1万人弱の人が亡くならずに済んだとされています(※5)。前述の気温による死亡率も含まれていますが、気圧の変化も確実に人の健康に関連していることがわかります。また気圧は湿度とも密接な関係にあり、冬場などは気圧が高ければ湿度は低下します。閉塞性肺疾患、いわゆるCOPD(昔は慢性気管支炎なんて呼ばれてましたね)などはこんな時に悪化するとされていますし、長く煙草を吸っていた方などは、より敏感に気圧の変化を感じるかもしれません。あまりに気になる場合は、お近くの呼吸器科の先生に相談することをオススメします。
大気・空気の質、汚染
天気や風は、雨や雪だけでなく大気汚染すら運んできます。近年話題になる機会の増えた中国からの黄砂やPM2.5の影響が有名ですが、これらも天候のもたらす健康被害の一旦を担っています。
一見すると冗談のように思えますが、実際にアメリカなどで行われた調査によると、気象に関連した大気汚染により、年間数千人の方が亡くなっています。言うまでもなく、健康に影響を及ぼすということです(※5)。主に呼吸器や心肺にとどまり病気を引き起こすのですが、今現在もわからないことが多い分野とされていて、今後も様々な体への影響が明らかになるでしょう。しかも問題なのは、これら死亡率はこれらも上がり続けるだろうという予測がされている点です。ある時期になると、天気予報などでPM2.5や黄砂の情報が賑わいますが、決して笑っていられるものではないということなんですね。余計なリスクを負わないためにも、気になる日にはマスクをするなど、しっかりとした対策が必要です。
余談ですが、PM2.5に関しては電子タバコも同じ懸念がされています。よろしければこちらもどうぞ。
ex.気候変動とお薬の影響も!?
持病があり沢山のお薬を飲んでいる方に注意事項です。実はお薬の中には自分の体温に対する調節機能を鈍らせるものがあります。そんな時に急激な天候の変化が起こると、残念ながら体は環境に対応できません。「おしっこが出ない」「汗が出ない」「喉の渇きがない」「血圧が低い」など、健康であれば普通に調節される部分が上手くいかず、最悪の場合、亡くなってしまう方もいます。気になる方は、自分の飲んでいるお薬の効果を知り、事前にお医者さんと相談しておくことが重要です。
まとめ
天気一つを取っても、健康には様々な影響があるとわかっていただけたと思います。「季節の変わり目は辛い」というあなた。原因がわかっていれば、意外に対策は立てられるものですよ。
必要なのはリスクを避けること。完全に避けることは難しくても、少しでも体をいたわってあげることで辛さは軽減します。日頃から健康について意識し、生活することをオススメします♪
健康は意識から!
あなたも今日から健康、はじめてみませんか?
参考文献
※2) :Wong, H. T., Chiu, M. Y. L., Wu, C. S. T., Lee, T. C., & Senior Citizen Home Safety Association. (2015). The influence of weather on health-related help-seeking behavior of senior citizens in Hong Kong. International journal of biometeorology, 59(3), 373-376.
※3) :Davis, R. E., McGregor, G. R., & Enfield, K. B. (2016). Humidity: A review and primer on atmospheric moisture and human health. Environmental research, 144, 106-116.
※4) :Franchini, M., & Mannucci, P. M. (2015). Impact on human health of climate changes. European journal of internal medicine, 26(1), 1-5.
※5) :Jhun, I., Coull, B. A., Schwartz, J., Hubbell, B., & Koutrakis, P. (2015). The impact of weather changes on air quality and health in the United States in 1994–2012. Environmental Research Letters, 10(8), 084009.
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません