音は健康に影響を及ぼす! 騒音がまねくマイナスの健康効果

2018年2月19日健康コラム,睡眠健康コラム,睡眠,騒音健康コラム,睡眠,健康コラム,睡眠,騒音

耳のイメージ

皆さんは日頃どんな環境で生活していますか。閑静な住宅街で落ち着いた生活を送っている方もいれば、都会のど真ん中で車や人の出す音の中で生活している方もいるかと思います。ではあらためて質問です。あなたのお家で聞こえる音、本当に健康的ですか?

今回はそんな騒音に関するお話です。

騒音は健康を脅かす

風邪を引いたワンちゃん

かねてより、騒音と健康は密接な関係にあると言われています。騒音に関する研究も世界中でされており、それが体にどのような影響を与えるかが言われています。日本でも騒音にまつわる訴訟や揉め事は枚挙に暇がないにも関わらず、実はあまり詳しく知らないのが現状です。今は大丈夫とタカをくくっているあなた。いつあなたの身に騒音が襲ってくるかはわかりません。ということで、騒音が起こす健康被害を一つずつ見てみましょう。

 

1.ストレスの増加

困った犬の顔

不快感のレベルは人によってまちまちですが、騒音は確実に人を不愉快にします。不愉快からもたらされるストレスは実は大きく、様々な健康被害に発展します。音の大きい小さいに関わらず、延々と鳴り続ける音に対する人のストレス値は問題で、人間の幸福度にまで影響を及ぼすことがわかっています(※1)。最悪の場合は聴力の消失にまで発展する可能性もあるため、なんらかの対策が必要なのですが、実は防音に関する限界は見えているともされています(※2)。ですから、車や飛行機の騒音など、事実上どうにもならない騒音に関しては、ストレスを受けている方々自身が対策するしかないとされています。騒音による健康被害を免れないならば、諦めて宅地を変えることも思慮するべきです。それほど騒音に関するストレスは難しいんですね。

 

2.睡眠障害

眠り足りない女性

睡眠障害の一旦は、昼間の環境度や生活の質が関わっていると言われています。どれだけ運動や規則正しい生活をしても、騒音などによる不快感の蓄積は睡眠障害をもたらします。また睡眠中の騒音に関しても細かく言われていて、33dB(閑静でない夜の街程度)を越える音の中では、人間の自律神経が反応しノイズとして認識してしまうため睡眠の質が低下してしまいます(※1)48dB(エアコンの室外機くらい)を越えると完全に夜間覚醒を起こし睡眠の質がさらに落ちるため注意が必要です(※3)これらは他の睡眠障害に比べて一般的に気づきにくいので、健康被害が出ても原因がわからないことが多く、実は騒音によって睡眠障害を患っていたと後になって気づくことも多いのだとか。自分はどんなうるさいところでも眠れると胸を張るのは良いのですが、体はストレスを受けているのを覚えておいてください。

 

3.心臓疾患

鼓動のイメージ図

長期間の騒音に悩まされた方ほど、高血圧や虚血性の心疾患を患う割合が高いことがわかっています。ストレスによる心拍数の上昇やストレスホルモンの値による部分も大きいのですが、生理学的な無意識のストレスによる部分も大きく、小さな騒音の連続でも結果的に心臓に悪影響を与えることがわかっています。中でも心臓疾患の死亡率は高く、騒音の大きさが10dB上がるごとに17%もの健康リスクの増加が認められるのだとか(※1)。より静かな場所で生活することが健康的に過ごす上で重要なことがわかります。

 

4.注意力低下

驚く子犬

騒音に晒された人は、認知能力、さらに言えば学力の低下にまで繋がることがわかっています(※1)。簡単に言えば、うるさい環境で勉強した子供は学力上昇に問題を伴うということ。騒音の種類は様々ですが、電気的に延々と続く騒音のある場所で頭を使う勉強や仕事は捗らないということです。あなたの周囲にもキーボードをバンバン叩く癖のある人や、いちいち声のうるさい人などいますよね? 作業効率が落ちる一旦をになっていますので、指摘することも健康リスクを考えれば重要です。人間関係を崩してしまうリスクも少なくはありませんが…。やんわりと伝えると良いかもしれません^^;

 

5.免疫力の低下

寒がる女性

こちらは複合的な結果となりますが、睡眠や血圧上昇を伴った体は免疫プロセスに問題を起こすことがわかっています。周囲が騒音の大きな環境に変わってから、よく風邪を引くようになったなど、その影響は少しずつ体に現れます。食欲不振や生活習慣病の影響にまで関わる大きな問題ですから、気になる場合は対策が必要です。何度も言いますが、自分ではストレスと感じていなくても体は感じています。体調の変化は常に気にかけるべきなのです。

 

6.死亡リスクの増加

デメリットイメージ図

航空機の騒音についての死亡率を調査した研究(※4)によると、心臓疾患や心筋症、冠状動脈姓心疾患等による死亡率の増加により死亡率の増加が考えられるとされています(ただし直接的な死亡率との関連性はないのだとか…本当?)。ちなみに騒音の感度による死亡率の違いもないということですから、誰でも一律に確率が上がるのは確かなようです。ただし感受性による精神衛生上の違いは確実にあると見られていて、今後同じような研究が進むことも予見されています。

ただ最近では、騒音や聴覚に関わる疾患に対する分子構造の研究が急速に進んでいて、神経疾患に関わる治療薬がこの先、5,6年で大きく変わると言われています。簡単に言えば、難聴やストレス疾患に関わる病(急性難聴やメニエール病等)に関するお薬や治療が劇的に変化を遂げるかもしれないということ。現在では特定疾患とされていますが、近い未来には完全に治る病気になるかもしれません。期待して待ちましょう♪

まとめ

現代社会において騒音は意外と身近な問題です。少しの環境の変化が個人の健康を脅かすことを、人はもっと知るべきです。

最近では保育園や幼稚園などの新設に関し、周囲住民や地域で問題となることも増えましたが、「自分たちも昔は子供だったんだから少しくらい我慢しろ」と他人事のように言う前に、実は人の人生に直結している事実も考えてみると良いでしょう。人によって感受性は異なります。子供の声がストレスにならない人もいれば、反対になってしまう人もいるんです。それで健康を害してしまった人に対し、無責任に「我慢しろ」と私は言えません。実際に健康被害は起こりえるのですから。

最後に付け加えておきますが、私は子供が大好きです。騒音だと思うかどうかは人それぞれだということです。多少強引ですかね♪
でも子供達を見ながら笑っていた方が幸せだと思いませんか?

健康は意識から!
あなたも今日から健康、はじめてみませんか?

参考文献


※1:Auditory and non-auditory effects of noise on health:Basner, Mathias et al.The Lancet ,Volume 383,Issue 9925,1325-1332
※2:Basner M:Much ado about noise—health risks associated with traffic noise. Dtsch Arztebl Int 2016; 113: 405–6. DOI: 10.3238/arztebl.2016.0405
※3:Demian Halperin,Environmental noise and sleep disturbances: A threat to health?,Sleep Science,Volume 7, Issue 4,2014,209-212,ISSN 1984-0063
※4:Evrard AS, Bouaoun L, Champelovier P, Lambert J, Laumon B. Does exposure to aircraft noise increase the mortality from cardiovascular disease in the population living in the vicinity of airports? Results of an ecological study in France. Noise Health 2015;17:328-36