アルコールは睡眠の大敵!? 眠りに重要なお酒の話5選

2018年2月14日睡眠アルコール,お酒,概日リズム,概日リズム睡眠障害,睡眠睡眠,アルコール,お酒,概日リズム,概日リズム睡眠障害,睡眠

飲み屋街のイメージ図

眠るためにお酒を飲む。いわゆる寝酒が癖になっている方も多いと思います。昨今はお酒を飲むことで睡眠の質が落ちることが言われることも増えましたが、何がどう悪いのかを知っていることは重要です。今回はアルコールが睡眠にどのような影響を与えるか、改めて見てみましょう。

アルコールが睡眠に与える影響

一升瓶を抱えた女性

睡眠中のアルコールに関する研究は本当に多く、毎日のように悪影響を示す結果が出されています。しかしアルコールには睡眠へ誘う機能があることも確かで、お酒を飲まなければ眠れないという人がいることも事実。そして一度その生活に慣れてしまえば、元の生活に戻すのが難しいのが問題です。ではアルコールが睡眠に及ぼす影響を列挙してみましょう。

1.アルコールは眠り初めのノンレム睡眠を深くするが、その後のリズムを崩す
2.アルコールを摂取する頻度が高いほど睡眠障害を有する率が高い
3.アルコールを摂取する頻度が高いほど睡眠時間が減少する
4.アルコールは睡眠時の無呼吸を誘発する
5.アルコールは概日リズムを壊す

アルコールは眠り初めのノンレム睡眠を深くするが、その後のリズムを崩す

お酒を飲んで居眠りする女性

皆さんも知っての通り、アルコールは人間を眠りに誘う作用を持っています。様々な実験でもそれら作用は明らかになっていて、眠り始めのノンレム睡眠の質を深く、むしろ良くするとさえ言われています。しかしアルコールは、2017年に米国の科学者がノーベル生理学賞を受賞し有名にもなりました恒常性(ホメオスタシス)、いわゆる生体リズムに影響を与えることがわかっていて、摂取後に睡眠にまつわる恒常性のリズムを崩してしまうことが言われています(※1)

睡眠波形イメージ

わかりやすく絵で示しますと、本来眠れていた波を強引に短縮して終わらせてしまうイメージ。睡眠恒常性が崩れてしまうことで、脳の覚醒度が上がり後半のノンレム睡眠の質が悪くなってしまうんですね。一瞬の質は増すが、全体の質は下がる。これでは十分な効果が得られません。

アルコールを摂取する頻度が高いほど睡眠障害を有する率が高い

ビールジョッキ

当然と言えば当然ですが、アルコールが短期的な恒常性のリズムを狂わす効果を有するとすれば、アルコール摂取の頻度が増えれば増えるほど睡眠の質は低下していきます。それらは睡眠にまつわる調査でも明らかになっていて、不眠レベルの高い人ほどアルコール摂取率が高いことがわかっています(※2)。週に飲んだ頻度が、そのまま睡眠の質に直結するとなれば、否定する術はありません。

アルコールを摂取する頻度が高いほど睡眠時間が減少する

酔いつぶれた男性

こちらも当然と言えば当然ですが、アルコール摂取の頻度と睡眠時間の比率も調査結果でわかっています(※3)飲む頻度が上がれば上がるほど、平均の睡眠時間は短くなります。崩れたリズムを取り戻すのは非常に難しく、それが日常になればなるほど睡眠の質は低下していく良い例です。結果的に不眠を招き、他の疾患を誘発する原因になるんです。恐いですね。

アルコールは睡眠時の無呼吸を誘発する

だらけた犬

アルコールは睡眠の質を下げるのに加え、睡眠時の無呼吸リスクを上げることもわかっています。値で言うと、実に25%ものアップ(※4)。こちらは飲む量にも比例するようで、飲めば飲んだだけリスクは増していくのだとか(就寝直前がリスク最大)要するに、寝酒として眠くなるまで飲むのは最悪だということです。また、お酒を頻繁に飲む人は肥満のリスクも高い傾向にあります。自らの健康を案ずるならば、すぐにでも生活を改善することをオススメします。

アルコールは概日リズムを壊す

複雑に絡まった糸のイメージ図

こちらは恒常性の機能とも関連するのですが、人が本来持っているリズム、概日リズムにアルコールが影響を及ぼすことがわかっています(※5)概日リズムに関しては、こちらをどうぞ。

メカニズムとしては、アルコールの摂取は人間の恒常性(リズム)を促進してしまうようで、約24時間で進んでいる体内リズムを早めてしまうということ。飲んだ時点で、睡眠を前倒しで始めてしまうイメージですね。そうなれば、本来眠れていた時間を待たずに起きてしまい、結果的に24時間の体内リズムが壊れ、23時間、22時間と短くなってしまうわけです。多少の増減は人間の機能で微調整されるのですが、これが続くと必然的に概日リズムが壊れます眠れないから酒を飲むという悪循環に陥っていくわけです。わかりやすいですね。

またこれらは若い世代(未成年)ほど影響を受けやすいこともわかっています(※6)。その後の生活を考えるならば、すぐにでもやめることを私は願っています。

まとめ

睡眠の質は、将来の健康リスクと直結しています。正しい眠りが健康に繋がっていることを理解してください。お酒で作り出した眠りは、あなたの体に悪影響を与えます。どうせやめても眠れないなんて言わずに、まずお酒をやめることから始めましょう。
睡眠不足がアルコール依存の再発に直結するのは有名な話。ですから自分だけでは難しいとなれば、家族や病院に相談することも必要です。必ず改善しますので、根気強い対応が肝心です。

健康の基本は睡眠から。
そして健康は意識から!
あなたも今日から健康、はじめてみませんか?

参考文献


※1) :Thakkar, M. M., Sharma, R., & Sahota, P. (2015). Alcohol disrupts sleep homeostasis. Alcohol, 49(4), 299-310.
※2) :Goodhines, P. A., Gellis, L. A., Kim, J., Fucito, L. M., & Park, A. (2017). Self-medication for sleep in college students: Concurrent and prospective associations with sleep and alcohol behavior. Behavioral sleep medicine, 1-15.
※3) :Angarita, G. A., Emadi, N., Hodges, S., & Morgan, P. T. (2016). Sleep abnormalities associated with alcohol, cannabis, cocaine, and opiate use: a comprehensive review. Addiction science & clinical practice, 11(1), 9.
※4) :Simou, E., Britton, J., & Leonardi-Bee, J. (2018). Alcohol and the risk of sleep apnoea: A systematic review and meta-analysis. Sleep Medicine.
※5) :Logan, R. W., Williams III, W. P., & McClung, C. A. (2014). Circadian rhythms and addiction: Mechanistic insights and future directions. Behavioral neuroscience, 128(3), 387.
※6) :Hasler, B. P., Soehner, A. M., & Clark, D. B. (2015). Sleep and circadian contributions to adolescent alcohol use disorder. Alcohol, 49(4), 377-387.