夜中にハッと飛び起きる。健康にまつわる悪夢の話
悪夢にうなされ夜中に目を覚ます。そんな経験が皆さんにも一度はあるはずです。今回はそんな悪夢にまつわる健康の話をしてみたいと思います。
悪夢を見る理由は?
最近、脳科学の分野でDMN(デフォルトモードネットワーク)という言葉がよく話題になるのですが、これはいわゆる「意識的な働きをしていない状態で動く脳の領域」を意味しています。ぼ~っとしてる時も、「脳はこのDMNで様々な活動をしてますよ~」、「実は沢山仕事してるんですよ~」って部分で話題になることが多いのですが、DMNは睡眠、ひいては悪夢にも関わっているのではないかと言われています。言い換えると、このDMNの機能変化を起こす条件が悪夢の理由なのではないかということです。
連日連夜、悪夢を見る人はまれかと思いますが、頻繁に悪夢を見てしまうという方は意外に多いと聞きます。ですが、世間一般では夢診断などの深層心理の一部として触れられることが多いだけで、健康状態について語られることはあまりありません。ですから、ここでは悪夢を見る人の健康状態について注目してみたいと思います。
では悪夢はどんな条件下で起こるのか。8つの条件に分けて説明します。
2.PTSD(心的外傷後ストレス障害)
3.不眠症
4.アルコールや薬による影響
5.寝る前の食事による影響
6.睡眠時無呼吸症候群
7.発熱や外傷による常的な痛み
8.テレビやゲームなどの影響
うつ状態、高ストレス状態が悪夢を招く
言わずもがなですが、うつ状態や高いストレス状態が続くことで、安静時の脳状態が変わってしまうことが言われています(※1)。そもそも論にはなりますが、うつや高ストレス状態下では、睡眠障害や急激な気分の落ち込みなど悪夢どころではない様々な影響が表に出てきます。すぐにでも何らかの手を打つ必要があります。悩んでいる時間はありません。お近くのクリニックで相談してみてください。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)による悪夢
災害や事故、大事な人の死など、大きな心理的影響を受けた後、人は脳にダメージを受けると言われています。この場合も脳状態が変わってしまうとされていて、悪夢の原因になると言われています。うつとは少々異なる症状も現れますが、こちらも何らかの手を打つ必要があります。お近くのクリニックで相談することをオススメします。
不眠症は悪夢に繋がる
理由は様々ですが、不眠状態が続くことで人間の脳に変化が現れることがわかっています。寝不足が続いている人も状況は同じですから、たまにしっかりと寝ようと思っても悪夢で目が覚めるという状況が頻発するのならば、しっかりと生活リズムから切り替えることが重要です。睡眠について、こちらも参考にしてみてください。
アルコールや薬による影響で見る悪夢
アルコールや治療に用いる薬の一部が、脳の状態に影響を与えることが明らかになっています。悪夢はレム睡眠中に発生することが多いのですが、アルコールに関しては睡眠の深さにも影響を与える(※2)ことが多くの研究でわかっていますので、合わせて悪影響を及ぼすのは確実です。薬による悪夢はある程度仕方のないことですが、深酒状態やアルコール依存から抜け出す途中の段階でたびたび見る悪夢は少々問題です。もし日常生活に支障をきたしているのならば、専門医の先生に相談することをオススメします。
寝る前の食事による影響
寝る直前の食事は脳の状態を変化させます。こちらは根本的なDMNの変化とは少々異なり、体の代謝や脳活動の活性化による短期的な影響が出ていることが予想できます。ここで示した他の項目に該当せず、いつも寝る直前に食事をとっている方などは、食事のタイミングを少し変えてみてください。それで変化があるのならば、それは食事による影響かもしれませんね♪
睡眠時無呼吸症候群が悪夢を誘発する
当サイトの敵であり、かつ不健康の代名詞こと睡眠時無呼吸症候群が原因となり、悪夢を見ることがわかっています。そもそも上手く呼吸できない状況ですからね。酸素も回りませんし、脳に影響が出るのは当然です。運動・食事・生活改善・通院の4本柱で、さっさと治療することをオススメします。当然ですが、口呼吸を避け、横向きで寝るなど工夫も必要です。
外傷や発熱による常的な苦痛
常に感じている苦痛は、安静時の脳状態を変化させることがわかっています。これらは長期間続くものではないかもしれませんが、痛みの強い外傷などで悪夢が続く場合は、何らかの対応が必要と言えるでしょう。痛みによる不眠は怪我の治りも悪くしますし、アルコールで誤魔化すなどはもってのほかです。根本的な痛みの解消(鎮痛)を考えるのが重要です。
テレビやゲームなどの影響
睡眠にも同じことが言えますが、スマホやゲームなどが一般的になりつつ昨今、これらの影響で悪夢を見ることが増えているのがわかっています(※3)。主に若年層による影響が大きいようで、これらが原因で睡眠障害にまで発展した方は約半数(51.1%)もの人が悪夢を見たのだとか。こちらは寝る間際だけに限られた話ではないので、ゲームやテレビに熱中しすぎるのは問題です。
まとめ
悪夢にハッと飛び起きる夜中。気分の良いものではありませんよね。どうやら悪夢には様々な要因が考えられそうです。上で示した幾つかが該当したあなた。少しずつで構いません。生活を改善してみませんか?
健康は意識から!
あなたも今日から健康、はじめてみませんか?
参考文献
※2:Ebrahim,I.O.,Shapiro,C.M.,Williams,A. J.and Fenwick,P.B.(2013), Alcohol and Sleep I: Effects on Normal Sleep. Alcohol Clin Exp Res,37: 539`-549.
※3:Jalilolghadr, Shabnam and Hashemi, Fatemeh and Jahanihashemi, Hasan and Yazdi, Zohreh and Alimoradi, Foad and Javadi, Maryam (2017) Association of sleep disturbances with TV and satellite watching and video games playing in 14-17 years old high school students of Qazvin. The Journal of Qazvin University of Medical Sciences,21(2).pp.31-40.ISSN 24235814
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