足元から見直してみませんか? 健康と靴にまつわる話

2018年2月2日健康コラム,運動健康コラム,運動,健康コラム,運動,健康コラム,運動,

ガラスの靴

「立ち仕事続きで足の疲れが抜けない」
「最近ランニングがしっくりこない」
「ここのところ妙に腰が痛いな」

時に思うこんな症状。
実はそれ、靴が合っていないのかもしれません。
今回は靴を始めとする履物にまつわる健康について、
いくつか紹介してみたいと思います。

健康に履物なんて関係あるの?

疑問のある女性

どうせ大きくなるんだから靴なんか一回り大きいくらいでちょうど良い。小さな頃によく言われたものです。百歩譲って、確かに小さな頃はそれでも良いでしょう。しかし二十歳を過ぎた大人がそれでは問題です。自分に合わない靴が、どれだけ健康を害するかを理解するべきです。

ということで、履物・靴が人の健康に及ぼす影響を簡単に紹介します。項目は5つ+α。男性も女性も、自分が履いている靴について、合わせて考えてみてくださいね♪

1.ハイヒールは健康に圧倒的な悪影響を与える
2.大きすぎる靴が与える悪影響
3.小さすぎる靴が与える悪影響
4.年齢ごとに履くべき靴は変わる
5.汚い靴はあなたの健康を害するかもしれない
ex.ランニングの怪我は靴のせい?

ハイヒールは健康に圧倒的な悪影響を与える

ハイヒールの女性

靴に関する健康情報において、最もポピュラー、かつ最も多くのマイナス情報を持つ履物。それがハイヒールです。ハイヒールに関する健康に否定的な情報は本当に溢れていて、オススメするには難しい一品となっています。美しさという点を除き、推奨する点がないほどです。それでは問題点を箇条書きに出してみましょう(※1-3)

マイナス情報がこんなに…

・身体的なバランスの減少(ヒールが高くなればなるほど)
・つま先にかかる圧力による外反母趾促進
・かかと部足底の圧力分散による筋骨格痛
・2cm以上のヒールによる腰痛促進
骨折リスクの上昇
・他人に怪我をさせるリスクの上昇
足首関節痛の危険度高
将来の歩行障害を促進(筋肉・脊髄・頚椎)

細かいリスクを合わせれば抜粋するのも大変なほどです。美しさと引き換えに、これほどの健康リスクを負っていることを理解することが必要です。

ただ、何を着て、何を履くかは個人の自由です。私もこの点について否定することはありませんが、それなりのリスクは覚悟すべきですと〆させていただきます。

余談ではありますが、ヒールには肯定的な側面もあります。つま先立ち効果による体幹を鍛える側面や、女性の精神的な気分高揚、そしてそれを見た男性の精神的気分の向上。驚くことに、これらはちゃんとしたレビューとして結果が残っています(※4)^^;
言い換えれば、仕事の志気を上げるには良いということですから、時と場合を考え、便利に使い分けるのが賢い使い方かもしれませんね♪

大きすぎる靴が健康に与える悪影響

足を痛めた女性

形やブランドが好きだけど、実はサイズが大きすぎる。こんなケースはよくあることです。しかし大きい靴を履くことにも健康のリスクがあります。

まずは靴内の空間のせいで引き起こされる摩擦です。靴内の余分な空間は、足の関節、足首、つま先に炎症を伴う確率が上がることがわかっています(※5)。また、バランスの悪い歩行姿勢から、膝や腰に負担がかかり、ヒールと同様の健康被害が起こります。歩行姿勢が変わってしまうサイズの靴を履き続けることはリスクを伴います。何より歩きづらい靴を履くメリットなんて、見た目以外にありませんからね♪

小さすぎる靴が健康に与える悪影響

子供用の靴

大きすぎる靴と同様に、歩行姿勢不良による膝や腰への負担が挙げられます。またハイヒールほどではありませんが、つま先部圧迫による外反母趾の促進。これに関しては手術前後の評価結果を見るだけでも明らかで、靴に関する重要度が大きく関連していると言えます(※6)
また他にも、慢性的な関節のリウマチを持っている方の多くが「小さすぎる靴を履いていた」という結果が出ています(※7)。靴が痛みの一端を持っていたということができるかもしれません。

そして最後に。残念なことに、多くの人が靴のサイズについてあまり関心がないということがわかっています。調査した結果によると、靴の「大きい小さい」をそれほど気にしない人が、なんと全体の九割にも及ぶのだとか。これでは気にならないのも仕方がないかもしれません。そもそも靴のせいで健康を害したなんて思っていないのですから…^^;

年齢ごとに履くべき靴は変わる

トゥーシューズを履く女性

今現在、高齢者の7割以上が足に関するなんらかの問題を持っていると言われています。その中で特筆すべき項目が「転倒による怪我」です。実は履物・靴の問題による転倒が多く、その後の生活に大きな影響を及ぼす可能性が高いのだとか。年齢とともに足腰が衰えれば衰えるほど、正しい靴を履く必要があるということなんですね。

ちなみにこちらも余談ですが、ヒールやサンダル、スリッパなどは、足のリスクを高める可哀想な履物として分類されています。楽だからと適当なことは言わず、しっかり自分に合った靴を履くことが重要です。間違ってもトゥーシューズはダメですよ!

汚い靴はあなたの健康を害するかもしれない

マスクの女性

あなたの周りにもいますよね?
靴を脱いだら異様な匂いを放つ汚い靴を履いている人。実はそんな汚い靴を履いているだけで健康を害するリスクがあることがわかっています。雨や地面の環境に加え、履いている人の汗や熱、爪の間などに含まれる細菌が反応し、毒性を持った物質に変わることがあるそうで(※8)、最悪の場合は六価クロムなどが検出されることもあるのだとか(こちらは革製品が日光により焼ける工程で発生するようです)。他にも靴の素材や状態によっては、体に影響を及ぼす物質を作り出しているかもしれません。「臭いだけだから」などと言わず、日頃から靴のケアをすることも大切ですよ!

ランニングの怪我は靴のせい?

ランニングするランナー

ランニングを頻繁に行う方はイメージできると思いますが、実は距離を走るランナーほど怪我をする確率は大幅に上がります。しばしばそれを靴のせいにしてしまいがちですが、実は違っているそうです。
長距離ランナーの怪我リスクを調査した結果によると、靴、走る前のストレッチ、生体力学などはあまり怪我に関係がないそうで、一番関連性が高いのは一週間に走る距離なのだとか(※9)。確かに足元の傾斜につまずき怪我をするなど靴に関連する怪我はあるかもしれませんが、実は「走りすぎ」というのが最もリスクが高いことを示しています。それもそのはずで、高レベルのランナーほど、靴に対するこだわりも上がります。そんな人が、靴の性能やフィット感を気にしないはずがありません^^;

ただしランニングの際に足にかかる圧力は、靴によって大きく変わることがわかっています(※10)。以前から素足で走った場合が最も圧力を分散できることがわかっていますが、靴の業界も日進月歩で進化し続けています。自分に合ったシューズを探し続けるのが、怪我を減らす第一歩かもしれませんね♪

まとめ

靴の手入れ

今回は靴に関する健康の話をしましたが、皆さんはどうだったでしょうか。自分に合わない靴を履き続けることは、将来や、はたまた近々の健康を害するリスクを伴います。あまり無理をせずに、自分に合った靴を履くことが重要です。歩けなくなることは、さらなる不健康を招きます。近頃はしっかりとしたフィッティングや、正しい足のサイズを測って適切なものを提供してくれるメーカーも増えています。安いから、お気に入りだからと履き心地を妥協せず、運動や趣味を楽しみましょう♪

よろしければ、足に関するリスクも読んでみてください。

健康は意識から!
あなたも今日から健康、はじめてみませんか?

参考文献


※1) :Zhang, B., Li, S., & Zhang, Y. (2017). Evaluation of Dynamic Posture Control when Wearing High-Heeled Shoes Using Star Excursion Balance Test. Physical Activity and Health, 1(1).
※2) :Afzal, F., & Manzoor, S. (2017). Prolong Wearing of High Heeled Shoes Can Cause Low Back Pain. J Nov Physiother, 7(356), 2.
※3) :Sumbul, H., & Ozyurt, O. (2017). Effect of High-Heeled Shoes on Gait: A Micro-Electro-Mechanical-Systems Based Approach. World Academy of Science, Engineering and Technology, International Journal of Electrical, Computer, Energetic, Electronic and Communication Engineering, 11(4), 424-429.
※4) :Barnish, M., Morgan, H. M., & Barnish, J. (2018). The 2016 HIGh Heels: Health effects And psychosexual BenefITS (HIGH HABITS) study: systematic review of reviews and additional primary studies. BMC public health, 18(1), 37.
※5) :Khabia, V., & Haral, P. Community Awareness of Risks Related to Footwear Problems.
※6) :Niki, H., Haraguchi, N., Aoki, T., Ikezawa, H., Ouchi, K., Okuda, R., … & Tanaka, Y. (2017). Responsiveness of the Self-Administered Foot Evaluation Questionnaire (SAFE-Q) in patients with hallux valgus. Journal of Orthopaedic Science, 22(4), 737-742.
※7) :Tovaruela-Carrión, N., Becerro-de-Bengoa-Vallejo, R., Losa-Iglesias, M. E., Palomo-López, P., Munuera-Martínez, P. V., Pérez-García, S., & López-López, D. (2018). Accurately determining proper shoe size in patients with rheumatoid arthritis. Rehabilitation Nursing Journal.
※8) :Kolomaznik, K., Pecha, J., & Critchley, W. R. Take a look at the Recent articles.
※9) :Tschopp, M., & Brunner, F. (2017). Diseases and overuse injuries of the lower extremities in long distance runners. Zeitschrift fur Rheumatologie, 76(5), 443-450.
※10) :Lewis, B., Finney, J., Zhang, S., & Li, L. (2015). Running Speed Affected Maximum Pressure on the Foot Comparing With or Without Shoes.